HHKB Professional Classic 英語配列/墨を買って1ヶ月ほどたちました。
平日は仕事に、休日は趣味のブログ執筆に、ほぼ毎日使っています。
独特なキー配列にも慣れて、だんだんHHKBの価値が正しく評価できる時期に入りつつあると感じています。
なのでここで一旦、本当にHHKBを買ってよかったか?、をふりかえります。
なるべく360度で評価したいので、よく戦略コンサルの使う
- 機能的価値
- 情緒的価値
の2つに分けて、考えていきます。
HHKBあくまでツール。正しい評価に基づき使い続けるかの判断があって然るべき、です
機能的価値:果たしてコスパはよかったか?
機能的価値を総合的に評価するため、
- パフォーマンス面
- コスト面
に分けて考えます。
いくらすごいものでも、限られたリソース(時間や金)を食いつぶすなら、機能的価値は低いと判断すべきだからです。
評価の結果、「コスパは群を抜いて良いわけではない」となりました。
パフォーマンス面:トントン
HHKBはキーボード=入力機器です。
なので、パフォーマンスとして見るとき「文字入力およびその他キーボード操作のスピード」は外せません。
また人が使う道具でもあるため、「使い心地のよさ」も観点に取り込むべきです。
そのため今回は
- 文字入力スピード
- その他キー操作スピード
- 打鍵の心地よさ
の3点で、評価しました。
文字入力スピード:アップ
HHKBの公式サイトによると、「ミニマルなキーが合理的に並んでいるためホームポジションから手を移動させる必要がなく、本質的にスピーディなタイピングが可能」だそうです。
それを踏まえての文字入力スピードですが、以下のとおりとなりました。
- タイプ速度:変わらず
- ミスタッチ率:低下
タイピングゲーム寿司打の点数や普段仕事で使っているときの感覚値から、タイプ速度は変わらないものの、ミスタッチ率がだいぶ減ったことで、総合的に文字入力スピードが上がったと感じています。
理由は、実際にホームポジションからあまり手を動かさなくなったのに加え、これまで使っていたキーボードよりストローク(キーを押す深さ)が深いため。
指とキーの対応関係がほぼ決まった状態で、かつ1つ1つ確認しながらキーを打つことになった結果、ミスタッチが減っているのでしょう。
その他キー操作スピード:変わらず
HHKBはキーが60個。F1~12や上下左右、Home/EndなどはFnキーと他キーの同時押しが必要です。
そのため、ほかのキーボードに比べショートカットキーの押し方が複雑になります。
それを踏まえてのキー操作スピードですが、以下のとおりとなりました。
- Fnを使わない系:変わらず
- Fnを使う系:トータルで変わらず
- カーソル移動:スピードアップ
- 複合ショートカットキー:スピードダウン
Fnキーを使わないキー操作は、従来どおりのスピードで使えています。
Fnとの組み合わせが必要な上下左右キー、およびHome/End/PageUp/PageDownは、練習により違和感なく使えるようになりました。むしろホームポジションから手が動かない分、高速化しています。
しかしただし方向キーとCtrl/Shift/Altを組み合わせた複合ショートカットキーは、かなり操作スピードが落ちました。特にExcelとの相性はよくありません。Shift/Ctrlと方向キーでセルや範囲を選択したり、Alt+方向キーでオートフィルタを操作する際、非常に複雑怪奇な運指が必要になります。
しががって、総合すると「スピードは変わらない」ですが、Excelを使うときとそうでないときの差が激しい点、留意が必要です。
打鍵の心地よさ:アップ
HHKBの最大のメリットは、快適にタイピングができること。
実際に使っていると、あまり力を入れないままサラサラっとタイピングが進みます。
特に良かったのは以下2点。
- 底打ちの必要なし
- 力を入れずフワッと打てる
ふわっと空気のような感触で文字が入力されていくのは、他には代えがたい心地よさです。
まさにHHKBの真髄ここにあり。よくあるノートPCの薄いキーボードには戻れません。
コスト面:気になるほどではない
次にコスト面。
ここではHHKBの登場シーン別に
- 使うときのコスト
- 持ち歩くときのコスト
- メンテナンスのコスト
の3観点から「楽になったか」「お金はかかったか」を確認することで、360度評価を行います。
利用時のコスト:プラマイゼロ
ざっくりいうと、
- 疲れにくくなった
- とはいえ気をつかうポイントは多い
ので、特段楽になったとは感じていません。
疲労度:変わらず
- 腕の疲れ:若干筋肉痛に(慣れの問題)
- 手指の疲れ:疲れにくくなった
時たま左腕の内側が筋肉痛になります。 ただ、なるときとならないときがあるので、おそらくHHKBの置き場所や手のポジション=慣れが関係しているのだと思います。
一方、手や指の疲れは大幅ダウンしました。フワフワの打鍵感のたまものです。
なので、疲労度自体はプラマイゼロでしょう。
学習コスト:結構大きい
- 独自の配列:違和感なく使えている
- Fnキーまわり:慣れに時間がかかりそう
一度覚えたらあとは使いこなすだけ……と思っていたものの、Fnキーまわりのショートカットキーはかなり時間と手間がかかっています。
方向キーまわりはまだしも、Ctrl/Shift/Altが複雑に絡まりあうExcel系ショートカットキーを駆使した連続運指は鬼門で、結構慣れるまで時間がかかりそうです。
その他:わりと気をつかう
- 尊師スタイルのとき、手が迷子になることがある
- HHKBの置き場所の調整が必要なときがある
尊師スタイルでは手首をノートPCのパームレスト部分に置くことがほとんどです。そのほうが手が楽なので。
しかしこれは、普段の手のポジションとは異なるので、ときどき手がホームポジションから迷子になります。
手を上からかぶせるように置くと調子よくタイプできるものの、腕を置く支点のない状況だと自力で腕を浮かせなければなりません。
このように、「適切な使いざま」にはわりと気を使います。その意味で、ちりつも的にコストが発生している状況ではあります。
持ち歩きのコスト:小さい
HHKBは530gとずっしり重いので、持ち歩きのコストは小さくありません。
とはいえ、がっつり対策したので気にならないレベルまで軽減されています。
通勤時:ゼロ
- カバンが重たくはなる
- ただ、対策により実害ゼロ化可能
HHKBを持ち歩くため、通勤カバンを軽いものに買い替えました。
- Before:1060g
- After:540g
ちょうどHHKB1つ分軽くなったので、実害ゼロです。
オフィス内移動:実害ほぼなし
- 重いし、かさばる
- が、移動時間自体は短く、実害は微小
ノートPCとHHKBを重ねて持ち歩いています。
やはり重いですし、最初は慣れませんでしたが、だんだんと「こんなもんだよな」となっていきました。
それにオフィス内移動なんて1〜2分程度なので、そんな疲れるわけでもありません。
したがって、実害ほぼゼロです。
休日カフェ:逆に軽くなった
- 重いし、かさばる
- 使い方でカバー可能
ノートPCを持ち歩くかわりに、スマホにつないで使うことにしました。
なので重さ的には
- ノートPC:890g
- HHKB:530g
と、逆に軽量化されています。
そもそも自宅に書斎があるので、PCが必要な作業はそっちでやればいいですし、あえてカフェにPCを持っていく必要もないかなと。
メンテナンスのコスト:気にならず
HHKBは長く使うことが前提の道具。メンテナンスにかかる時間やお金も、評価に入れるべきです。
ただし現時点で、一発もののコストばかり。気になるほどの時間や金額ではありませんし、HHKBを長く使っていくにつれコスパが良くなっていくので、
メンテナンス時間:継続発生しない
メンテナンス時間は増えています。
たとえば、静音リングの取り付けや、自作吸振マットの素材探しには結構な時間をかけました。
とはいえこれら、一発ものばかり。ずっと発生続けるもの(ランニングコスト)ではありません。
なので、特段気にすることはないでしょう。
唯一継続発生するものといえば、キーキャップを外しての掃除くらいですが、これも年に1回くらいだと思うので問題ありません。
メンテやエンハンスにかかるお金
かけたお金はゼロではありません。
ただいずれも一発ものの出費で、かつ少額(総額5,000円くらい)で、ことさらがなり立てる必要はない水準です。
- キーキャップ取り外し工具:500円
- 静音化リング:1000円
- USBケーブル:800円
- USB-C変換アダプタ:400円
- キャリングケース:100円
- 吸振マット:0円(自作)
- 軽量リュック:2200円
買ったものの一覧はこちら。
ちなみにキャリングケースや吸振マットなどを公式サイトの純正で揃えると2万近くかかります。
5,000円で済んでいるのは結構工夫したほうかな……と密かに思っています。
情緒的価値:使ってニヤニヤできているか?
情緒的価値は、「ニヤニヤできたか?」について
- 内発的要因(自分だけによる主観)
- 外発的要因(他人の目による客観)
の2つに要素分解して評価を行います。
購入経緯や状況、主観の影響が大きため、かなり偏った評価にはなりますが、結論「ニヤニヤが止まらない」です。
内発的要因:最高
使いながら内心、めちゃくちゃニヤニヤしています。
そうじゃなきゃ尊師スタイルなんてしませんし、職場に持ち込んだりもしません。
ここだけの話、諸般の事情で2019年の年末年始、正月休み全部返上で20連勤していたのですが、それでも気持ちが保てたのはHHKBで仕事していたからです。
「まあ家に帰れば生ハム原木あるしな」の話と同じで、「HHKBが一緒だから仕事がきつくても気分が上がる」というやつ。HHKBは心を守るアイテムになっているんです。
じゃなければ、わざわざ仕事カバンを買い替えてまで持ち歩いたり、どこでも使えるよう周辺グッズを買い回ったりしません
過去記事「HHKBを衝動買いした理由」に書いたように、HHKBはぼくにとって「ロトのつるぎ」のようなもの。憧れの道具です。だから使っていてニヤニヤして当たり前。当然、気分も上がります。
だから、内発観点での情緒的価値は、有無を言わさず「最高」となります。
外発的要因:最高
一方、外発的要因は「人からなにか言われることによる気分の上がり下がり」なので、自己満足の世界である内発的要因と比べ、少しばかり客観が入ります。
実際、1ヶ月の間に職場で言われたコメントをざっくりまとめてみたんですが、おおむね高評価でわりとニヤニヤできました。
- 「え、すごいことしてますね」(尊師スタイルを見たクライアント)
- 「NAEさんのキーボードいいなあ」(Web系に詳しい後輩)
- 「そのうち東プレが欲しくなりますから(ニヤニヤ)」(HHKB経験済の同僚)
- 「おお、HHKB買ったんですね」(社内ネットワーク管理担当のクライアント)
こうなった理由はおそらく、
- エンジニアだらけの職場ではなく、フリーアドレスなので、外付けキーボードを持ち歩く人はほぼゼロ
- ただIT系の部署とのかかわりが多く、HHKBの名前を知っている人はそこそこいる
という背景から、HHKBを使っていると目立ち、かつ一目置かれやすい環境だったから。
たぶんエンジニアの多い職場(HHKBや東プレを使うのは珍しくない)や、非IT系の職場(キーボード持ち歩くなんてワケワカランと思われる)だと、話は違ってきたのかもしれません。
というわけで、状況の助けもあり、外発観点での情緒的価値もまた「最高」です。
結局、HHKBを使い続けるのか?
1ヶ月ほどたった時点の結論は、「使い続ける」です。
文字入力のスピードが上がったのはもちろん、心地よい打鍵感や「使っていてニヤニヤできる」は捨てがたいからです。
もろもろのコスト面は、気になるところは最小化済ですし、唯一残る欠点「Excelなど特定アプリでショートカットキー操作が遅くなる」は慣れでなんとかすればだけで、ノックアウト条件(そこがダメだから使うのをやめる条件)にはなりません。
そのため、今後ノックアウト条件が出てくるまでは、直せないレベルで壊れるまでは使い続けようと思います、
とはいえ「1000万回の打鍵に耐える」という公式の仕様から試算すると、30年は使える計算なんですけど
まとめ:もっと早く買えばよかった
総合評価:
1ヶ月近く毎日使って、やはり入力器具としてのHHKBの完成度はすごいなあと。
これまで愛用していたThinkpadトラックポイントキーボードが霞んで見えてしまうくらいにすごい。(こちらもとても評価の高いキーボードなんですけど)
正直、もう少し早く買っておけばよかったと、後悔しました。なんなら就職前、学生時代から買っておいてもよかったかなと。
なので、この記事を読んでいるあなた。HHKBが気になっているなら、今すぐ買うことをおすすめします。
買って気に入れば御の字ですし、気に入らなければ売ればよし(買ってすぐなら高値で売れます)。試すこと自体を遅らせるのに、本質的に意味はありませんので。
以上「HHKBを買ってよかった?得られた価値を360度評価してみた」でした。
※その後、より高い利便性を求めてHHKB Professional HYBRID Type-S 英語配列 墨 を購入しました