イヤホン、用途で2つ使い分けていませんか? 管理人はまさにそれで、音楽鑑賞用のイヤホンと、Web会議用のインカムを併用しています。しかし正直なところ、この使い分けがだんだん面倒になってきたのです。
おまけに、仕事で使うインカムは耳掛け部分が大きく、メガネと干渉してどうにも座りが悪い。もっとスマートで、快適な選択肢はないものか…。
そんな「音楽も仕事も、これ一台でいけないか?」という探求心から、今回試してみるのがオープンイヤー型の「TRUEFREE EarFit DS1」です。
この「一台集約」を成功させるためにチェックするのはこの4点。肝心の「装着感」と「音質」、そして実用性を左右する「マイク性能」と「音漏れ」です。実験の結果を、ご覧ください。

TRUEFREE EarFit DS1 概要とメーカーの主張
今回検証するイヤホンが、こちらの「TRUEFREE EarFit DS1」です。
比較的新しいメーカーですが、意欲的な製品を送り出している印象です。










まずは、メーカーがどのような点を「強み」としてアピールしているのか、公式情報を整理してみましょう。(スペック全量はAmazonの商品ページからどうぞ)
- 快適な装着感: 片耳わずか8.9gという軽量設計。耳にかける部分が細く、メガネやマスク着用時も干渉しにくいとしています。
- 音漏れ対策: 独自のアルゴリズムにより、音漏れを最大40%低減(※自社測定基準)したと謳っています。
- アプリ対応: 公式アプリを使うことで、イコライザー(EQ)の調整や、イヤホンを探す機能が利用できるとのこと。
- バッテリー性能: 本体のみで最大10時間。充電ケースを併用すれば、合計で最大40時間の再生が可能としています。
- 音質: 12mm×17mmの大口径ドライバーを搭載し、迫力ある低音とクリアな高音を両立した、とアピールしています。
特に管理人が注目したのは、「メガネとの相性を含む装着感」と「音漏れ対策」です。これが本当なら、管理人が抱える課題を解決できるかもしれません。
メーカーの看板に偽りなし?EarFit DS1を本音でレビュー
メーカーの主張は魅力的でしたが、実際のところはどうなのか。「装着感」「音質」「音漏れ」「マイク性能」の4つのポイントで、管理人のワークスタイルに合う「道具」なのかを検証していきます。
良い点も、そしてもちろん悪い点も。正直に見ていきましょう。
装着感:厳しめな管理人が「これはいいかも」と唸る軽さとフィット感
結論から言うと、装着感は期待を大きく上回るものでした。特にメガネを常用する管理人にとって、「メガネとの干渉の少なさ」は大きな美点です。
なぜここまで快適なのか。それは、多くの耳掛け式イヤホンとは「バッテリーの配置場所」が根本的にちがうからのようです。
一般的な製品は、耳の後ろに来るパーツにバッテリーを内蔵しがちです。しかしEarFit DS1は、スピーカーのある本体側にバッテリーが収まっています。これにより耳の後ろがごたつかず、メガネのツルとぶつかる圧迫感がほとんどありません。この構造には、思わず「なるほどな」と感心させられました。

右:TRUEFREE EarFir DS1
アーム部分も、TPUというグニャっと曲がる柔軟な素材でできています。耳の形にやさしくフィットし、軽く首を振ったくらいでは外れる気配もありません。
普段使っている仕事用のインカムは、アームが硬く、長時間つけていると耳が痛くなることもありました。その点、EarFit DS1は片耳約8.9gと軽量なこともあり、つけていることを忘れそうになるほどです。長時間の「つけっぱなし」運用にも、十分耐えられる快適性だと感じました。
音質:音楽没入は厳しいが「ながら聴きBGM」にはちょうどいい
装着感で高評価だった一方、音質については良くも悪くも「オープンイヤー型らしい」というのが正直な感想です。このイヤホンの音質は「音楽に没入するため」ではなく、「生活にBGMを添えるため」と割り切るのが正解です。
メーカーは12mm×17mmの大口径ドライバーを搭載し「高音質」を謳っています。たしかに、低音はかなり健闘していると感じました。スカスカな音ではなく、インナーイヤー型イヤホンと同程度の迫力は出してくれます。耳からスピーカーまでの距離を考えれば、これは評価していいポイントでしょう。
しかし、音楽のディテールを味わうのは正直きつい、というのが本音です。管理人は普段、Amazon MusicのUltra HD(高音質)で音楽を聴いているのですが、このイヤホンだと、正直その音質の良さがほとんど感じられません。
これは、耳を塞がないオープンイヤー型の構造上、ある程度は仕方のないことです。ライブ会場のような臨場感や、各楽器の繊細な音色を楽しみたい人にとっては、「not for meだ」と感じるはずです。
一方で、「ながら聴き」の用途なら話は別です。作業中にBGMを流したり、YouTubeのトーク番組を音声メインで楽しんだり。そういった使い方であれば、全く問題なく、むしろ必要十分な音質だと感じました。
音漏れ:静寂な場所では正直気になる。利用シーンを選ぶ必要あり
オープンイヤー型で、誰もが最も気にするのが「音漏れ」でしょう。メーカー側も独自のアルゴリズムで「音漏れを最大40%低減」と謳っており、期待が高まるところです。
しかし、管理人が試した限り、過度な期待は禁物です。特に静かな環境では、相応の音漏れがあると考えるべきでしょう。
具体的な使用感は、以下の通りです。
- 生活音のある場所(自宅リビングなど):
1mくらいの距離まで近づかない限り、ほとんど音は聞こえませんでした。家族がいる空間で使っても、迷惑になることはなさそうです。 - 静寂な場所(静かなオフィス、図書館など):
5mほど離れていても、シャカシャカという高音域の音が聞こえてしまいました。
このように、EarFit DS1の音漏れは環境に大きく左右されます。BGMとして心地よいと感じる音量でも、シーンとした場所では思った以上に響いてしまうのです。
もちろん、音楽に没頭しようと音量を上げれば、それはもう周りを気にすべきレベルの音漏れになります。
ただし、この音漏れは付属のパーツで多少改善できる可能性があります。


付属してくるイヤーピースは3種類あります。標準で装着されているものは一番左の背が低いものですが、スペアの2つは背が高く作られています。この背の高い方に交換すると、耳との密着感が増し、音漏れが少しだけ軽減される印象でした。
もし音漏れが気になるなら、まずはこちらのイヤーピースに交換してみることをお勧めします。ただし、背が高いイヤーピースは耳の内側に少し触れるため、少し圧着感を感じます。ここは好みが分かれるかもしれません。
その上で、このイヤホンは「ある程度ざわついた環境で、BGMとして適度な音量で使う」のがベストな選択。静かなオフィスや電車内で使う際は、やはり少し配慮が必要だと感じました。
マイク性能:Web会議の「インカム代わり」としては条件付きで合格

「仕事道具」として使うからには、マイク性能も重要なチェックポイントです。結論から言うと、静かな環境での短い打ち合わせなら十分実用的。しかし、これをメインの業務用インカムとして使うのは心もとない、というのが正直な評価です。
メーカーはENC(環境ノイズキャンセリング)機能を謳っており、たしかに周囲の雑音はそれなりに抑えてくれる印象です。ただし、外で歩きながら通話する時、風切り音がとても入りやすい点は明確なマイナスポイントです。
一方で、スマートフォンのマイクと比較すると、スマホ本体のマイクは感度が高く自分の声をよく拾う一方、周りの環境音まで拾ってしまいます。対してEarFit DS1は、環境音を抑える代わりに、自分の声も少し遠くなるように聞こえます。つまり、スマホのマイクをそのまま使うよりはEarFit DS1の方が良いです。
とはいえ、口元にマイクが伸びる専用のインカムと比べれば、音声品質で勝てないのは当然。環境音や風切り音のカットオフ。自分の声だけ拾う精度、いずれの観点でも専用のインカムが勝ります。
よって、EarFit DS1をWeb会議で使う際には少し注意が必要です。相手にクリアな音声を届けるには、普段より少し声を張る意識が必要かもしれません。静かな個室で、1対1で話すような場面なら問題ないでしょう。しかし、騒がしい場所から参加する会議や、大切な商談で使うには、正直きついと感じました。あくまでサブの通話用、と割り切るのが良さそうです。
EarFit DS1の惜しい点|購入前に知っておきたい3つのこと
ここまで、EarFit DS1が特定の用途でいかに快適かを話してきました。しかし、もちろん完璧な製品ではありません。人によっては「これは許容範囲外だ」と感じるかもしれない、ハッキリとした惜しい点も存在します。
装着時の誤タッチ:慣れは必要。意図しない音量変化に少しヒヤッとする
快適な装着感と引き換えに、管理人が最も気になったのがこのポイントです。耳にかけようと本体をつまむ際、ちょうど指が触れる部分がタッチセンサーになっており、かなりの確率で誤操作してしまいます。

具体的には、装着しただけなのに、音楽が再生されたり、音量が変わってしまったりします。装着するたびに「大丈夫かな?」とスマホ側で確認する一手間は、正直なところ地味にストレスでした。
特に怖いのが音量です。知らない間に音量が最大になっていて、いざ音楽を再生した瞬間に爆音が鳴り響き、心底ヒヤッとしたことがありました。これは耳にも良くありませんし、意図しない大音量での音漏れにも繋がります。
もちろん、センサー部分を避けて装着する「慣れ」で解決できます。タッチ操作を使わないと割り切れるなら、公式アプリからタッチセンサーを無効化すればこの問題は回避可能です。判断や割り切りが必要な点は留意したほうが良いでしょう。
公式アプリの限界:Androidアプリが2台以上の同時管理に対応していない
個人的に、これがEarFit DS1、というよりTRUEFREE公式アプリの最も「惜しい」と感じたポイントです。メーカーは公式アプリによるEQ調整などのカスタマイズ機能を謳っています。しかし、2025年8月2日現在、管理人のAndroid環境ではアプリが正常に機能しませんでした。


具体的には、スマートフォンとイヤホンはBluetoothで正常に接続できているにも関わらず、公式アプリ側がEarFit DS1を認識してくれません。そのため、設定画面に進むこと自体ができないのです。
いろいろ試した結果、原因は以前使っていたTRUEFREE Clip C10のデータがアプリに残っていたためでした。アプリのキャッシュとデータを削除して再起動すると、無事にアプリがEarFit DS1を認識してくれました。




どうやら、2025年8月2日時点では、TRUEFREEのAndroid版アプリはTRUEFREEイヤホンの複数持ちに対応していないようです。若いブランドなので複数持ちユーザは少ないだろう、という割り切りがあるのかなと思います。
TRUEFREEイヤホンを複数台持っている人、これから2台目を買おうとしている人は注意してください。
動画視聴での音ズレ:トーク主体ならOK、アクションや音楽ライブは厳しい
最後の惜しい点は、動画視聴における「音の遅延」です。EarFit DS1が対応するコーデックは、最も基本的なSBCのみ。どうしても映像と音声の間にわずかなズレが発生してしまいます。
よって、アクション映画や音楽ライブなど、映像と音が少しでもズレると気になるコンテンツの視聴には、正直おすすめできません。役者の口の動きとセリフが合わないのは、かなりのストレスになります。
一方で、音声がメインのコンテンツであれば、話は別です。Kindleの読み上げ機能やAudibleといったオーディオブックは、もちろん全く問題なく快適でした。
また、対談や講演といった「トークが主体」のYouTube動画であれば、ほとんど違和感なく視聴できます。管理人はよく「TED Talks」や「PIVOT」「令和の虎」といったチャンネルを流し見(聴き)しますが、これらは全く問題ありません。
映像をじっくり楽しむのではなく、音声で情報をインプットするような使い方であれば、音ズレは気にならないでしょう。動画視聴に使うなら、「何を観るか」をしっかり選ぶ必要がありそうです。
結論:TRUEFREE EarFit DS1はどんな人におすすめか?

さて、ここまで良い点も惜しい点も正直にレビューしてきました。その上で言えるのは、TRUEFREE EarFit DS1は「万人受けする優等生」ではなく、「使い方さえハマれば最高の相棒になる、個性派の道具」だということです。
もしあなたが「最高の音質」や「通話の品質」よりも「生活や仕事への溶け込みやすさ」を重視するなら、このイヤホンはかなり良い選択肢になる可能性があります。
具体的には、こんな方にはドンピシャだと思います。
- BGM感覚で「ながら聴き」をしたい人
周囲の音を遮断せず、快適にBGMを流せます。Web会議の合間や、家事をしながらのインプットに最適です。 - メガネをかけていて、イヤホンとの干渉に悩んでいる人
管理人が最も評価したポイントです。耳の後ろがゴロつかない構造は、他の製品にはない快適さでした。 - 長時間の「つけっぱなし」に耐えられる軽さを求める人
片耳約8.9gと軽量で、耳への圧迫感も少ないため、一日中つけていても苦になりにくいです。 - PCとスマホを2台持ちし、マルチポイント接続を活用したい人
仕事のPCと個人のスマホを同時接続し、会議と音楽をシームレスに行き来するような使い方にフィットします。 - 機能や音質は「必要十分」で良いと割り切れる、コスパ重視の人
有名ブランド品に比べて安価ながら、特定の用途での実用性は十分。まさに「これでいい」を体現した一台です。
逆に、以下のような方には、現時点ではおすすめできません。
- 音楽に没入できるレベルの高音質を求める人
- アクション映画やゲームなど、音の遅延が許せない人
- 「騒がしい場所でもクリアな音声を」というビジネスレベルのマイク音質を求める人
ご自身の使い方と照らし合わせて、検討してみてはいかがでしょうか。

まとめ
総合評価:
- メガネと干渉しない快適な装着感
- 長時間つけていても苦にならない軽さ
- 「ながら聴き」に最適な開放感
- つけっぱなし運用に効くマルチポイント接続
- 音楽没入には向かない音質
- 静かな場所では気になる音漏れ
- ビジネスレベルには心もとないマイク
- 動画視聴での音ズレ
結論として、EarFit DS1は「音質」や「音漏れ」や「マイク」などが妥協できれば、驚くほどの「快適性」が手に入るイヤホンでした。
管理人個人としては、評価は星4。「メガネと干渉しない」という一点だけでも、レギュラー入りを考えるのに十分な価値があると感じているものの、マイク性能や音ズレなど諦めるべき点の考えるとこの評価にせざるをえませんでした。
つまりEarFit DS1は尖った存在、手放しで万人におすすめできる製品ではありません。その弱点を理解し、自分の使い方に合うと判断できるなら、これ以上ないほど快適な「道具」になる可能性を秘めている、そんな一台です。
この記事が、あなたの「ちょうどいい」イヤホン選びの参考になれば幸いです。
ここまで読んでいただきありがとうございました。

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