連続通話時間が足りないヘッドセットに、ずっと困っていました。以前使っていたHEIBAS G7は安くて気に入っていたんですが、本体だけだと連続通話が5時間ほどで力尽きてしまい、午後の会議が続く日には完全に役者不足。価格は満足でも、仕事スタイルには合わなかったんですよね。
そこで「連続通話が長くて、通話専用で、小さくて、4,000円未満」という条件で探して行き着いたのが、Glazata EC200です。買って3日間ガッツリ使い込んだ結論を先に言うと、2,880円で業務用に必要なものはひと通り揃っています。
ただ、買ったあとにネットを調べて気づいたことがあります。検索で出てくる情報の多くが「30時間通話・サブイヤホン付き・Micro USB」という、現行品とは違う旧仕様のまま残っているんですよね。ここではその食い違いを正したうえで、実際に使って分かった実力を書いていきます。
総評:2,880円で業務用に必要なものが揃っている



結論、めちゃくちゃ気に入りました。
これまで使ってきたどのヘッドセットよりも、ぼくの仕事スタイルに飛び抜けてハマったのです。
良かった点と惜しい点を先に並べておきます。
- 電池が本当に持つ 会議漬けの1日を終えても残量50%で、公称20時間に偽りなし
- スライド式の電源スイッチが快適 長押し不要で一瞬のオンオフ、こまめに切る習慣が自然に身につく
- 終日装着できる軽さ 朝から夜まで耳に付けっぱなしでも痛くならない
- マイクは素では使えない 周囲音をそのまま拾い、付属のノイズ抑制はほぼ効かない。スマホやアプリのノイズ抑制機能と併用で回避可
- マルチファンクションボタンが地雷 Web会議中に誤って押してしまうと退席してしまう。本機能の無効化不可能
惜しい点はあるものの、いずれも使い方や設定で回避できる範囲です。2,880円という価格を踏まえれば、あえて他を買う理由が見当たりません。
Glazata EC200、現行品で変わったこと


買ってから気づいたのですが、このヘッドセットはネット上の情報と現物の仕様にズレがあります。検索で出てくるレビューを鵜呑みにすると、期待と違うものが届くので、まずそこを整理しておきます。
充電はUSB-C、バッテリー表記は20時間に修正済み
ネットの古い記事を見ると、判で押したように「30時間連続通話」と書いてあります。ところが今のAmazon商品ページの表記は「20時間」です。
調べてみると、海外仕様や初期の国内レビューでは260mAhのバッテリーを根拠に30時間と大きく謳われていたものの、現行ページでは実数値に近い20時間へとトーンダウンされていました。古い記事が30時間と書いているのは、昔の公称値をそのままコピペしているからなんですよね。だから「30時間持つはず」と思って買うと、肩透かしを食らいます。
充電端子も確認しておきたいポイントです。あまりに古い設計の製品だと充電がMicro USBになっていることがあるのですが、このアイテムはちゃんとUSB-Cが採用されています。防水機能や充電口のカバーといった余計なものが付いていないぶん、端子もシンプルで取り回しが良い。質実剛健な作りに好感を持ちました。
サブイヤホンは現行品には付属しない
もうひとつの落とし穴が「両耳化できる」という情報です。これも旧ロットの話で、初期のEC200にはMicro USB接続の有線サブイヤホンが同梱されていて、両耳で聴けました。
しかし現行ロットにはサブイヤホンが付いていません。付属品はイヤーフック、イヤーピース、充電ケーブルのみで、完全に片耳専用です。過去のレビューを見て「両耳にできる」と思って買うと、箱を開けて困ることになります。現行品は片耳機だと割り切ってください。
旧型チップ(QCC 3020)を選んだ理由:むしろ好都合
このヘッドセットを選ぶ決め手のひとつが、搭載チップが旧型のQCC 3020だったことです。新しさで選ばなかったのには理由があります。
音声通話専用の用途では、いろんなコーデックが乗っていたり、CVCのようなノイズキャンセル処理が裏で動いていたりすると、そのぶん電池の消費に跳ね返ってきます。つまり「高機能=長持ち」とは限らないんですよね。むしろ通話に不要な処理がない機種のほうが、電池が安定して持つはずだと読みました。
旧型のQCC 3020は、まさにその「余計な処理を積んでいない」候補にあたります。だからこそ連続20時間という数字にも納得がいったし、後述するとおり実測でもこの読みは裏切られずに済んだんです。狙いどおりの選択だったと思っています。
ただ、こうして電池のために割り切った設計には裏返しもあります。その代償がもっとも色濃く出るのが、これから述べるマイク周りです。
マイクは素では使えない。でもiPhone・Teams・Zoomと組み合わせれば問題ない

このヘッドセットの一番のクセがマイクです。素のマイク性能は正直ダメ。
ですが、使い方次第で実用上の問題は消えます。順を追って説明します。
欠点:周囲音をそのまま拾う、付属のノイズキャンセルはほぼ機能しない
欠点はマイクが周囲の音をそのまま拾ってしまうことです。50cmの距離でスピーカーから音楽を流しながら話すと、相手にこちらが何を聴いているかバレるレベルまで拾ってしまいます。風切り音も普通に入ります。商品ページにはノイズキャンセルの紹介が貼ってありますが、期待してはいけません。ほぼ機能しないと思ったほうがいい。
発生条件は単純で、周りに音がある環境で素のまま通話すると必ず起きます。逆に静かな自室で使うぶんには、この欠点の影響は受けません。在宅で個室にこもって会議するスタイルの人なら、そもそも気にならないと思います。
回避策は、通話アプリ側のノイズ抑制を併用することです。iPhoneならOS標準の「声を分離」を通話中にオンにすると、周囲のノイズをほぼ遮断して自分の声だけを届けてくれます。WindowsでTeamsやZoomを使うときも、それぞれにノイズ抑制オプションがあります。実際にカフェの雑音や音楽を50cmの距離で流しながら自分の声を録音してみたところ、ほとんど自分の声しか聞こえなくなりました。素のマイクが弱くても、組み合わせれば困らないというわけです。
ひとつ注意したいのが、iPhoneの「声を分離」はアプリごとに設定が保存される点です。初めて使うアプリでは自分でオンにする必要があります。とはいえ一度設定すれば次回以降は引き継がれるので、普段使うアプリを本番前に一巡しておけば、実害はほぼありません。TeamsやZoomのノイズ抑制も一度設定すればずっと保存されます。ちょっとした準備でカバーできる話です。
AI音声入力との相性が予想外によかった
マイクの弱さが、思わぬ場面で武器になりました。AI音声入力との相性です。
最新チップでマイクのノイズキャンセルが強く効く機種だと、音声入力の精度がかえって落ちることが多いんですよね。ノイズと一緒に肝心の声まで削られてしまう。だからぼくは音声入力のときだけマイクをスマホ本体に切り替えて話すことが多かったんです。
ところがこのEC200は、ノイズ処理が弱いのが逆に功を奏しました。声をそのまま素直に拾ってくれるので、iPhoneの音声入力でテキストをガシガシ書く用途でもしっかり使えてしまう。ぼくにとっては、うれしい誤算だったんですよね。さすがに周りがうるさい場所だと精度は少し落ちますが、静かな場所なら全く問題なく拾ってくれます。
AI時代に音声入力が使えるかどうかは、仕事の効率を大きく左右します。スマホ本体のマイクに口を近づけて入力する手もありますが、それだと画面が見づらくなるうえ、入力ミスをその場で手直ししたいときに不便なんですよね。何が入力されているか確認しながら話せるのと、画面がろくに見えない状態とでは効率がまるで違います。その意味でも、業務用ヘッドセットとして頼れる一台です。
電池の持ち:「20時間通話」は本当だった
一番気になっていた電池の持ちは、公称どおりに収まってくれました。ここは文句なしです。
朝から夜までWeb会議が詰まっている日に、満充電から付けっぱなしで使い倒してみました。マルチポイントでPCとスマホの両方に接続したまま、1日中マイクとスピーカーを稼働させた状態です。それでも1日の終わりの残量は、満充電から50%ほど減っただけで踏みとどまっています。
会議の半分くらいは聞き役で放置していた時間も含まれるとはいえ、終日の業務でこの減り方なら、20時間という数字に嘘はありません。耳が痛くならず付けっぱなしにできることも相まって、とりあえず耳に引っかけておけばあとは気にしなくていい。この運用のしやすさが、地味に効いてくるんですよね。
装着感と操作性:朝から夜まで耳に付けっぱなしでいける


装着感と操作性は、地味ながら毎日効いてくる部分です。ここの完成度が、終日使いの快適さを支えています。
イヤーフックと使うこと前提で、終日装着が可能
装着しても、ほとんど違和感を覚えません。パーツが強く当たる感覚も、圧迫される感覚も、耳が痛くなることもなく、朝から夜まで付けっぱなしでいけました。スピーカーが耳を完全に塞ぐ形ではないので、外の音もちゃんと聞こえます。外音を拾いながら会議をして、合間に音声入力もする、という使い方を1日中続けられました。
ただし、イヤーピースの固定力だけに頼るのは禁物です。フックなしの状態で頭を横にブンブン振ると、スポーンと飛んでいきます。満員電車で振り向きざまに飛ばして拾えなくなる、なんて事故も起こりえます。なので基本はイヤーフックと一緒に使うのが前提です。
そのイヤーフックは2つ付属します。付け外しできる形で、そこそこ力を入れないと着脱できないのですが、カバンの中で何かに引っかかって紛失することもあるので、予備が1つ入っているのはありがたい配慮だと感じます。フックは180度回転するので、右耳でも左耳でも自由に切り替えられます。イヤーピースもS・M・Lの3サイズ付属していて、耳に合わせて選べばフィット感も音漏れもコントロールできます。
Amazonの商品ページには「長時間の使用はしないでください」と書いてありますが、これはおそらく耳の形が合わない人向けの免責で、ぼくには当てはまっていません。
スライドスイッチが地味に快適


操作系で一番気に入ったのが、電源のスライドスイッチです。長押しではなく、スライドで即座にオンオフできるのが快適なんですよね。
電源が1個のボタンで「3秒長押しで起動」みたいな機種って、すぐにWeb会議に出たいときにイライラするんですよね。電源を入れてからBluetooth接続、マイクとスピーカーの認識、という段階を踏むので、電源オンは一瞬で済ませたい。そこで3秒待たされると地味にストレスです。
その点このスイッチは一瞬で切り替わります。指先で凸凹を認識できるので、ノールックで電源オンにして装着、ノールックで外して電源オフ、ということもできてしまう。おかげで「会議がなければ電源を切る」という習慣が自然に身につきました。10分放置でDeep Sleepに入る省電力モードからの復帰ラグを気にするより先に、ぼくはこまめに電源を切ってしまうので、そのラグに悩む場面がそもそも訪れなかったんです。良いデザインだと思います。
マルチファンクションボタンだけは封印推奨
惜しいのがマルチファンクションボタンです。ここだけは封印を推奨します。
このボタンには通話の応答・終了がワンクリックで割り当てられています。問題は、Web会議中に間違って押してしまうと退席してしまうこと。ぼくはこのボタンを使う機会が一度もなく、むしろ誤爆のリスクのほうが気になりました。アプリや設定で無効化できると良かったところです。とはいえ、この値段でそこまで求めるのは酷かもしれませんね。使わないと割り切れば済む話です。
持ち運び:ポケット入れっぱなしで問題なし

持ち運びやすさも申し分ありません。
とにかく小さいので、ポケットに滑り込ませても全く違和感がありません。むしろ入れたまま放置していてもいいくらいです。電源がスライド式なので、ポケットの中で誤って電源が入ってしまう心配もありません。耳から外すときに親指でサッとオフにすればいいだけです。
唯一気をつけたいのが、取り外し可能なイヤーフックがカバンの中で意図せず外れる可能性です。ただ、これはしまうときのフックの角度を調整すれば解決できました。実際に移動を含めて3日間使ってみても、フックが外れる様子は一度もうかがえません。
ちなみに、接続中に本体のLEDが定期的に青く点滅したり、側面の音量ボタンが平坦で押し分けにくかったりする点を気にする人もいるようですが、ぼくが3日間使った範囲では特に問題には感じていません。
Glazata EC200 が向いている人・向いていない人
3日間、移動・リモートワーク・自宅・オフィスとあらゆる場面で使ってみて、通話品質も電池も持ち運びも装着感も、どこを取っても満足のいく仕上がりです。2,880円でこれが手に入るなら、あえて他を買う理由がありません。
向いているのは次のような人です。
- 通話専用の長持ちヘッドセットが欲しい人 会議漬けの1日を1回の充電で乗り切れる
- 終日付けっぱなしにしたい人 軽くて耳が痛くならず、外音も聞こえる
- スマホで音声入力をガシガシ使いたい人 余計なノイズ処理がないぶん声を素直に拾う
- すぐ会議に出たい人 スライドスイッチで電源オンが一瞬
逆に向いていないのはこんな人です。
- 両耳で聴きたい人 現行品はサブイヤホン非同梱の片耳専用
- アプリ側のノイズ抑制を設定したくない人 素のマイクは周囲音を拾うので設定が前提
- 音楽鑑賞の音質を求める人 あくまで通話・音声用途の割り切った機種
ぼくにとっては、これまで使ってきたヘッドセットを飛び越えてレギュラー入りした一台です。
まとめ
総合評価:
Glazata EC200は、ネット上の旧仕様情報(30時間・サブイヤホン付き・Micro USB)に惑わされさえしなければ、2,880円とは思えない実力を持った業務用ヘッドセットです。現行品はUSB-C・連続20時間・片耳専用で、その20時間は実測でもきっちり裏切られずに済みました。
素のマイクは弱いものの、iPhoneの「声を分離」やTeams・Zoomのノイズ抑制と組み合わせれば実用上は問題なく、むしろノイズ処理が弱いおかげで、AI音声入力との相性は予想外に良好だったんですよね。スライドスイッチの快適さや終日装着できる軽さも含め、減点の少ない一台です。
とはいえ、これはまだ3日間の使用記録にすぎません。長期的な耐久性は別の話なので、半年・1年後にどうなったかは改めて追記したいと思います。
ここまで読んでいただきありがとうございました。

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