メカニカルキーボード

自作キーボードを仕事道具と捉えた場合、長期的観点で意識すべきことはなにか

Corne Mini レビュー 組み立て方 入手方法 ビルドログ 使ってみた

仕事道具の最重要ミッションは、仕事を止めないことです。

自作キーボードを使い始めて約1年。これまで「好きだから」の思いひとつで使い続けてきました。

今後も自作キーボードを仕事道具として長く使うイメージがもてたので、あらためて自作キーボードは仕事を止めない状態を維持できるのかも考えるべきだ、と。

では、リスクは何で、どうリスクヘッジすべきか。

仕事道具に求められる4つの要件から、考えてみたいと思います。

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信頼性

信頼性とは
  • 常に仕様どおり・期待通りに動作すること

自作キーボードでいえば、

  • 電源を入れたらオンになる
  • USBケーブルを接続したらキーボードとして認識される
  • Bluetooth接続したら接続状態が維持される
  • キーを押したら意図した文字が意図した回数だけ遅延なく入力される

などでしょうか。

たとえば、キーを押しても文字が出るときと出ないときがあったり、1回しかキーを押してないのに「っっっっっっr」と連続入力されてしまったり、Holdに設定したキーが誤爆したり。これでは信頼性に欠けますので、仕事道具に使うべきではありません。

はんだ付けが甘かったり、ファームウェアの設定が自分の運指にマッチしていなかったり、キーマップに抜け漏れがあると、こういうことが起こります。

逆に、ここらへんをしっかりしておくと信頼性は確保しやすいと思います。

耐久性

耐久性とは
  • 通常利用の範囲内ですぐ壊れないこと
  • 例外的な外的作用にもある程度耐えられること
  • 摩耗や経年劣化の影響を受けにくいこと

自作キーボードでいえば、

  • キーキャップやキースイッチなど部品が外れにくい
  • ねじがすぐにゆるまない
  • 打鍵の衝撃で回路が断線しない。はんだが剥がれたり基板が割れたりしない
  • 長時間使っても熱暴走しない。回路が熱を持ったり焼き切れたりしない
  • 持ち運びのときに加わる外圧に耐えられる
  • これらが年単位で重なっても問題ない

などでしょうか。

仕事中に高頻度で壊れていちいち修理が必要。そんなキーボードだと時間に追われる仕事現場だと使えませんね。

キースイッチ単体であれば8000万回の押下に耐えるなどの耐久性指標がありますが、自作キーボード全体でいうと特に指標がありません。大事に使うこと、壊れにくいようケースで保護することなどに尽きるかなと思います。

メンテナンス性

メンテナンス性とは
  • 故障を防ぐための日々の手入れが簡単にできること
  • 故障・破損したとき、すぐ復旧できること
  • 手入れや復旧作業の準備ハードルが低いこと

自作キーボードでいえば、

  • 分解・組み立てに必要な工具の数や種類が少ない(例:五角形のドライバーが必要な特殊なねじを使ってない)
  • 分解・組み立ての工程が少ない(例:ねじの本数が必要最低限)
  • 普段の手入れの工程が少ない(例:内部の掃除は隙間からエアダスターを吹けばOK)
  • 交換部品が手に入りやすい(例:規格外の長さのねじを使っていない)

あたりでしょうか。

自作キーボードはDIY製品なので、こだわると1点モノになりがち。しかし、こだわるほど修理部品は手に入りにくく、修理工程も複雑になります。

たとえばぼくの使っているMiniAxeは、薄さを極めるカスタマイズを入れた結果、

  • 分解・組み立ての工程がかなり複雑化した。プラスドライバーだけでなくペンチも必要で、手数も多く時間がかかる
  • 入手の難しい長さのねじを使っているため、スペアがすぐ手に入らない

という状態となっています。

自分にとって価値のあるカスタマイズだと信じているものの、メンテナンス性の観点では望ましい状態とはいえません。

メンテナンス性を考えると、可能な限り部品はジェネリックなものの範囲内におさえるべきですし、分解・組み立ての工程が少ない状態を保つべきです。

代替可能性

代替可能性とは
  • すぐにスペアが準備できること
  • 同一品でなくとも、似た仕様の品が手に入りやすいor手元にあること

自作キーボードでいうと、

  • 同じキーボードをもう1台手元に置いておける(金銭的な側面を含め)
  • 独力でスペアを準備できる(例:はんだ付けサービスに頼るのではなく自分ではんだ付けできる)
  • 配列のおおむね似ている別のキーボードが手元に置いておける(例:Corne MiniKeyball 39Corne CherryKeyball 44
  • それら代替品に手慣れたキーマップが設定できるorしてある

あたりでしょうか。

キーボードが壊れたし代わりもないから仕事が全く進みません!となるのは厳しいですよね。

とはいえ、自作キーボードは単品でもそこそこのコストがかかるもの。同じものを複数台準備するのはお財布に厳しいのが実情です。

現実的には、別種類のキーボードを複数台揃えておき、それぞれを使いこなせるようにしておく、くらいでしょうか。

まとめと感想

以上の4つの観点、自作キーボードにおいては、

  • 信頼性と耐久性:設計とビルドクオリティに依存する
  • メンテナンス性と代替可能性:設計+カスタマイズの程度+自身の技能+財力に依存する

ものだと感じています。いずれも自作キーボードに関する知識と技能が必要で、初心者からするとそこそこハードルが高いものです。

実際、ぼくも自作キーボードに手を出す前までは、HHKBまたはANSI配列の60%キーボードの世界から出ないように心がけていました。

当時は自作キーボードの設計もカスタマイズも修理・組み立ての技能も道具もなかったので、その範囲に身を置くことで最悪壊れても「代替可能性」ですくえると考えたためです。

しかし、今は自作キーボードにどっぷり。ある程度の知識も技能も身につきましたし、道具も揃いました。自宅に似た配列のキーボードを複数控えさせており、似たキーマップを設定しています。仮に出先で壊れたとしても影響は1営業日以内に抑えられます。

出先で故障したときその場で修理できる範囲には限界があるものの、それは自作キーボードだけでなく外付けデバイス共通のリスクです。

ということで、ある程度リスクヘッジができる状態にあると思うので、仕事道具として使い続けて大丈夫かのかな、とも感じています。逆に言うとここに至るまで約1年かかりました。

まとめると、自作キーボードを仕事道具として使うにおいては、

  • 組み立てはしっかり。多少の衝撃ではんだが取れないようしっかり盛っておく
  • ねじ締めなど簡単な修理は外でもできるように小型ドライバーを持ち運ぶ
  • 自宅で使うとき、こまめにメンテナンスしておく
  • 持ち運ぶときはケースに入れて衝撃から守る
  • 上記を通じて、荒々しい取り扱いは避ける。丁寧に扱う
  • 最悪のケースを想定して、手になじんだキーボードを複数備えておく
  • 以上が揃うまで、地道に自作キーボードの知識や技能を身につける。ハードウェア面もソフトウェア面も

あたりを心がけることが大事なのかなと。

以上「自作キーボードを仕事道具と捉えた場合、長期的観点で意識すべきことはなにか」でした。

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