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aptX LLは本当に低遅延なのかDA PUMP「U.S.A.」で検証。SBC、AAC、有線との比較も

DA PUMP「U.S.A.」でaptX LLが本当に低遅延か実験してみた

aptX LL対応のワイヤレスイヤホンが手に入ったので、「低遅延(Low Latency)」という名前が看板に偽りなしなのか、実験してみました。

先に結論を言ってしまうと、aptX LLは本当に低遅延、というより認知限界的に遅延ゼロです。

映画や音ゲーなどで映像との音ズレが気になる人は、aptX LL対応のワイヤレスイヤホンを買いましょう。(音源側がaptX LLに対応しているかの確認は忘れずに!)

参考 aptX LL対応のワイヤレスイヤホン一覧

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前置き:コーデックとその遅延値

代表的なコーデックの遅延値は次の通り。

コーデック遅延値
SBC220ms±50ms
AAC120ms±30ms
aptX70ms±10ms
aptX HD70ms±10ms
aptX LL40ms未満
NAE
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AACの遅延値は公式には非公表ですが、PhileWebなど複数メディアの検証結果から引用しています

実際これら遅延がどのくらいに感じるの?を明らかにするのが、この実験の目的です。

実験の概要

実験方法:ISSAの右手を見る

  1. 有線、SBC、AAC、aptX LL、それぞれで音源とつなぐ
  2. YouTubeでDA PUMPの「U.S.A.」を流す
  3. 目を閉じ、音だけを頼りに特定のタイミングで一時停止する
  4. 一時停止された時点の画像から音ズレの大小を測定する

なお今回使う「特定のタイミング」は、U.S.A.のサビ部分「C’mon Baby アメリカ」の「ア」です。

理由は、ISSAの右手。振り付け的に「ア」のタイミングで地面と水平になるのが正しい位置なので、そことの角度のズレから音ズレの大きさが測定しやすいからです。

NAE
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aptXは対応するワイヤレスイヤホンがなかったので実験できませんでした……

実験機器の構成

今回使うイヤホンとBluetoothトランスミッターたち

使う機器は以下の5つです。

コーデック別の接続方式は次のとおり。

  • 有線:音源→有線イヤホン
  • SBC:音源→ワイヤレスイヤホン
  • AAC:PCに有線接続したBT-C6→ワイヤレスイヤホン(AAC対応)
  • aptX LL:PCに有線接続したBT-C6→ワイヤレスイヤホン(aptX LL対応)

音源(ChromeBox)はAACやaptXに非対応なので、有線とSBCの実験に使います。

Bluetoothトランスミッター(BT-C6)はAACとaptX LLに対応しているため、ワイヤレスイヤホン側で利用コーデックを切り替えます。

各コーデックの実験結果

では「U.S.A.」を聴きまくった結果です。

1. 有線接続:0度(水平)

まずは対照実験。遅延ゼロなはずの有線イヤホンの結果はこちら。

有線のISSA = 0度(出典:YouTube

ISSAの腕の角度は地面と並行=0度で、本来の振り付けと同じです。

こちらと比較することで、各コーデックの音ズレを測っていきます。

2. SBC:60度

公称の遅延値220ms±50msのSBC。

SBCのISSA=60度(出典:YouTube

ISSAの腕の角度は「約60度」です。

結構ズレてますね。

3. AAC:90度

俗称の遅延値120ms±30msのAACでは……

AACのISSA=90度(出典:YouTube

ISSAの腕の角度は「約90度」。本来は「メ」のタイミングです。

半拍ズレは結構ひどいです。SBCよりズレている。

最悪のパターン(120ms+30ms=150ms)を引いたのでしょうか。もしくは俗称の遅延値よりもっと遅延が大きいのかもしれません。

4. aptX LL:0度(水平)

最後に公称遅延値40ms未満のaptX LLだと……

aptX LLのISSA=0度(出典:YouTube

ISSAの腕の角度は「0度」です。

驚くべきことに有線イヤホンの場合と同じ。ピタッと一致しています

NAE
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フレームレベルで一致しているので、動画のリフレッシュレートが30p(=1秒で30フレーム。1フレーム0.03秒)である点を考えると、遅延値は30ms未満ということになります

考察:aptX LLで遅延を感じない理由は、認知の限界

NAE
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aptX LLの遅延値=40ms未満だけど、0msじゃないから遅延がないわけではないよね?なんで遅延ゼロに感じるの?

……と思ったので、調べてみました。

すると、2つのデータが見つかりました。音の遅延の認知限界に関するデータです。

  • アナウンサーが原稿を読む動画の場合、人が検知できる遅延の限界値は50~120ms(参考
  • ヤマハの行った音楽演奏の実験によると、厳密な条件で測定した遅延の検知限界は8msだが、30ms未満なら遅延があることすら認識せず正常にセッション(複数人の同期演奏)が可能(参考:PDF注意

つまり、シチュエーションによって遅延の感じ方(許容幅)は違うものの、30ms未満であればほぼ遅延を感じない、ということ。

その点、aptX LLの遅延値「40ms未満」は、音楽や動画を見るというシチュエーションにおいては、人の認知的には「遅延ゼロとほぼ同等」と呼んでも過言ではなさそうです。

参考:aptX LLで音ゲーをプレイしてみた

AUKEY EP-B80で音を聴きながらスマホアプリの音ゲー「BeatCraft」をプレイしている様子
タイミング調整なしで「BeatCraft」をプレイ

以下構成&設定で、音ゲーをプレイしてみました。

  • 構成:スマホにトランスミッターAUKEY BT-C6を有線接続し、aptX LL対応のAUKEY EP-B80とペアリング
  • 設定:「タイミング調整」設定なし

結果、有線と変わらず普通にプレイできています。タイミングのズレからくるミスは発生していません。

aptX LLは、動画鑑賞だけでなく、音ゲーのプレイでも重宝しそうです。

まとめ:aptX LLは本当に遅延ゼロ

というわけで、実験の結果「aptX LLは遅延ゼロ(有線イヤホンと同じ水準)」でした。

念のためDA PUMP「U.S.A.」以外の聴き慣れた曲のPVで試してみましたが、結果は同じ。

したがって、音ズレや遅延が気になる人はaptX LL対応の音源&ワイヤレスイヤホンを選ぶのが正解です。

aptX LLは最新のコーデックですが、イヤホン自体は3,000円台のものもあるので、ハードルは高くありません。

音楽のPVや映画画を音ズレなく楽しみたい人、音ゲーなどでの遅延が気になる人は、ぜひaptX LLにチャレンジしてみてください。

参考 aptX LL対応のワイヤレスイヤホン一覧

以上「aptX LLは本当に低遅延なのか?DA PUMP「U.S.A.」で検証してみた」でした。

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