2016年2月にはてなブログで執筆を開始、独自ドメインを取って本格稼働したのが5月頃、今日でちょうど10年になります。別ブログと合わせると総記事数は650本を超え、月間10万PVを達成した時期もありました。
せっかくの節目なので「やってよかった理由」を言語化しておくことにしました。
先に結論を言うと、続けてよかった理由はぜんぶスキルの話——PV数でも収益でも人脈でもなく、ブログを通じて自分に蓄積されたものが、10年後の今も本業と趣味の両方で機能しています。
ブログとぼくの10年
ブログを始めたのは2013年のことです。当時は「開設だけして放置」というよくあるパターンで、本格的に書き始めたのは2016年2月。同年8月には月間10万PVを達成し、翌2017年2月にWordPressへ移転しました。
本業はITコンサルタントです。このブログは副業であり趣味であり、そして実験場でもあります。締め切りがなく、しがらみもなく、失敗しても自分が痛い目を見るだけ——その気楽さが、10年間続けてこられた一番の理由だと思っています。
続けてよかった、4つの理由
振り返ってみると、ブログを続けてよかったと感じる理由は4つに整理できます。
どれも数字で測れるものではなく、ぼくの中に積み上がったもの、スキルの話です。
「複眼」を手に入れた——ITコンサル×Webマーケという希少な組み合わせ
本業でITコンサルをしながらブログでWebマーケティングを実践し続けた結果、ぼくはIT側とマーケティング側の両方の言語が話せるようになりました。
これが実際に効いた場面があります。ITコンサルとして動いているときに急遽デジタルマーケティング案件に携わることになり、LINE公式アカウントのペルソナ設計やチャットボットのキーワード設計を求められたとき。ブログで読者を想定しながら記事を書いてきた経験が、そのまま使えました。
また、ECサイトのパフォーマンスチューニング案件のリカバリでも、キャッシュ・CDN・DNSプリフェッチ・PageSpeed Insightsといった、ブログ運営でさんざんいじってきた領域が実務に直結しました。SEOとコーポレートITインフラを両方語れる人というポジションは、ブログを10年やっていなければ生まれなかったと思います。
本番環境の実験場——リスクがあるから学びが深い
ブログは副業ですが、れっきとした本番環境です。WordPressの自動化を試したり、サーバー設定をいじったり、AIを使ったコンテンツ生成フローを組んだり——失敗すればブログ自体がぶっ壊れる可能性があります。
だからこそ、本気になれます。「実験」とはいえ成否が自分の資産に直結するので、調べ方も詰め方も本業と同じ緊張感です。
同じ論理は、ガジェット購入にも当てはまります。最も印象に残っているのは、スマート歯ブラシ(歯磨きを採点してくれるデバイス)です。サービスはすでに停止してしまいましたが、「技術的に面白そう+ネタになる」だけを理由に手を出した最初のエッジーなアイテムでした。
本番環境だからこそ真剣に使う。痛い目を見たとしてもブログのネタになる。このフェイルオーバー先があることで、新しいものへ一歩踏み出すときのハードルが大幅に下がりました。
10年分の思考をAIへ継承——自分自身を外部化する
10年間書き続けると、文章の中に自分の思想や哲学が自然と滲み出てきます。
最近、このブログの全記事をAIにインプットさせて、AIエージェント組織のコアバリューを抽出する作業をしました。10年分の文章が「自分を言語化したデータベース」として機能したわけで、これは意図して作ったものではなく、書き続けた結果として残ったものです。
情報発信は「コンテンツのストックが積み上がるメディア」だとよく言われますが、ぼくにとっては自分自身のデータが積み上がっていたことのほうが、長い目で見て大きな収穫でした。
AI時代に人が書く意義——世界の切り取り方に人間の価値がある
AIがいろいろ席巻する時代、ぼくの記事執筆にAIを使うようになりました。といっても、ぼく自身の体験や考えが必ず一次情報源であり、AIはあくまで執筆実務の伴走者、最終の品質担保はぼく自身が行う、という役割分担でやっています。
その中で思うのは、2026年5月現在、LLMはかなり高度なテキストを生成できるものの、確率的なアウトプットを生成するマシーンという本質は変わっていません。過去のデータから再現性の高いパターンを引き出し再現することは得意でも、これまで存在しなかった角度で世界を切り取ることは、まだ苦手です。
新しいことを試し、生身の体験から洞察を得て、それを言語化する——この一連の行為に、人間が自ら書く意義があります。ブログを通じてこれをやり続けてきたことは、AI時代に入った今も価値を失っていないと感じています。
後悔していること・やりきれなかったこと
正直に言うと、後悔もあります。
ひとつはカスタマイズ沼にはまってコンテンツを後回しにした時期があったことです。WordPressのデザインやプラグインにこだわりすぎて肝心の記事が増えない時期は、完全に本末転倒でした。
もうひとつは、仕事論ブログの軸をもっと本気で育てる選択肢があったかもしれないという点です。仕事論をブログに書き続けていたら出版社から声がかかり、2018年頃に商業出版に至りました。バーチャルからリアルへ出ていくチャンスでもありましたが、本業に注力するほうを選びました。その判断が間違いだったとは思いません。ただ、あのタイミングでもう一本の軸を育てていたら、また違う景色があったかもしれない——という後悔は残っています。(といっても、もはや再現可能な仕事論やベストプラクティスはAIが出してくれるので、仕事論というジャンル自体が衰退期していくと思うので、今から再参入するつもりもないです)
まとめ——情報発信を「自己投資」として捉えると何が変わるか
10年続けて感じるのは、情報発信を「短期の収益やPV」の手段として見ると、続けることが難しくなるということです。
一方で、スキルの蓄積・本業への還流・実験場としての活用という自己投資の文脈で捉えると、積み上がるものが長期的に大きくなります。10年後に振り返ったとき、数字は覚えていなくても、ブログで得たスキルや体験は確実に残っていました。
もっとも、これはあくまでぼくの場合の話です。短期でPVと収益を最大化したい人には、もっと効率的な戦略がほかにあります。ぼくの話が有効なのは、長期で自分に積み上がることを優先したいと思う場合に限られます。
この記事を「情報発信のハウツー」として書いたつもりはありません。ぼくの10年がそういう形で積み上がった、という記録です。既存の読者の方に何か参考になる部分があれば、それ以上のことはありません。
ここまで読んでいただきありがとうございました。

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