「PCゲームに没頭するなら、有線接続が最適解だ。コントローラーしかり、イヤホンしかり。プレイの佳境でバッテリーが切れるなんて、ナンセンス以外の何物でもない。どうせデスクから動かないのだから、有線でいい。」
・・・このロジックは、完璧な正論だと管理人も思います。
でも管理人はあえてワイヤレス環境の構築に挑みます。理由は、純粋な技術的好奇心。昨今調べてみた「LE Audio」という新規格が、Bluetooth×ゲーミングの長年の課題だった「音の遅延」を本当に解決できるのか。この一点を、自分の環境で確かめてみたかったのです。
そんな折、レビュー依頼が舞い込んだのが「SOUNDPEATS Air5 Pro+(Pro Plusという表記も)」。LE Audio対応はもちろん、xMEMSという新世代ドライバーまで搭載した、いかにも面白そうな一台です。
今回はこのイヤホンと共に、PCワイヤレスゲーミングの可能性を探ってみます。
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結論:SOUNDPEATS Air5 Pro+は、PCゲーマーのワイヤレス化計画における「質実剛健な最適解」

先に結論からお伝えします。このイヤホン、ワイヤレス充電に非対応な一点を除けば、ほぼパーフェクトな出来栄えです。正直なところ、他のイヤホンがかすんで見えるほどの衝撃でした。
PCゲームで真価を発揮する「LE Audio」の低遅延。xMEMSドライバーが奏でる、2万円クラスの有線イヤホンに匹敵する「高音質」。そして、ゲームへの没入感を高める「強力なノイズキャンセリング」。これら全てを、1万円台とは思えないレベルで実現しています。
ゲームも音楽も普段使いも、これ1台で高次元にこなせる。まさに質実剛健、攻守とも完璧な逸品ではないでしょうか。SOUNDPEATS、おぬしやりおったな。そんな言葉が思わず口をついて出た一台です。
深掘り解説:LE Audioの「よくある誤解」と「本当の実力」
SOUNDPEATS Air5 Pro+のレビューに入る前に、今回の主役である「LE Audio」について少しだけお話しさせてください。この新技術には、まだあまり知られていない実力と、いくつかの誤解が存在します。
誤解①:「スマホの動画くらいじゃ、低遅延の恩恵はないのでは?」
アンサー:確かにそう思うかもしれません。しかし、スマホゲームや楽器アプリ、アクション系の動画など「タイミングが命」の用途では、その真価が発揮されます。
正直なところ、YouTubeでトーク番組を見たりアマプラでアニメを観たりする程度であれば、従来のワイヤレスイヤホンでも大きな不満はないでしょう。管理人自身もそうでした。
しかし、例えばリズムゲームやFPSのようなコンマ1秒の反応が求められるスマホゲーム。あるいは、画面に合わせてピアノやギターを演奏する楽器アプリ。画面と効果音のシンクロが重要なアクション系の動画や映画。これらの場合、音の遅延は体験の質を著しく損ないます。
LE Audioは、そうした「タイミングが命」の用途でこそ、その真価を発揮します。今はまだニッチな要求に聞こえるかもしれませんが、自分には関係ないと思っていた技術が、ある日突然、あなたの趣味を何倍も楽しくしてくれるかもしれません。
誤解②:「低遅延モード = 音質が悪い、というトレードオフがあるのでは?」
アンサー:それは半分正解で、半分不正解です。重要なのは「何を諦め、何を得るか」です。
「高音質(高ビットレート)」と「低遅延」がトレードオフの関係にある、という直感は物理法則として正しいものです。では、LE Audioの低遅延モードでは、音質は犠牲になるのでしょうか。
実際にaptX(高音質コーデック)とLE Audioで聴き比べてみたところ、確かにaptXの方が音に奥行きや深みを感じました。しかし、これは本機がaptXに最適化されたSnapdragon Sound認証チップを搭載している影響も大きいでしょう。
重要なのは、LE Audioの音質が決して「悪い」わけではないということです。むしろ、ドライバーやチューニングといったイヤホン本体の出来が素晴らしいため、単体で聴いている分には十分すぎるほど高音質。コーデックの違いは、じっくり聴き比べなければわからないレベルでした。
つまり、Air5 Pro+におけるトレードオフはこうなります。
- 諦めるもの: aptXやLDACで接続した際の、ごくわずかな音の深み。
- 得るもの: 遅延から解放されるストレスフリーな体験と、省電力性。
このイヤホンはハードウェアの素性が良いため、常時LE Audioで運用しても音楽を十分に楽しめます。これは大きなメリットと言えるでしょう。
誤解③:「そもそもLE Audioって何?設定が難しそう…」
アンサー:技術は新しいですが、PCでの設定は簡単です。ただし、スマホにはまだ少しクセがあります。
LE Audioは、これまでのSBCやaptXといった規格(クラシックオーディオ)とは全く別の、新しいBluetoothオーディオ規格です。そのため、接続方法に少し注意が必要です。
- PCの場合: LE Audio対応のUSBトランスミッター(別売)を使えば、非常に簡単です。管理人が使ったモデルでは「低遅延モード」「高音質モード」も明確に切り替えられ、迷うことはありませんでした。
- スマホ(Pixel 8a)の場合: ここが少し厄介でした。LE Audio対応スマホであっても、標準設定のままではLE Audioで接続されません。管理人の環境では、開発者向けオプションにある「HDオーディオ」という項目がオンになっていると、aptXのような従来のHDコーデックが優先され、LE Audioで接続できませんでした。低遅延の恩恵を受けるには、この「HDオーディオ」を意図的にオフにするという、直感的ではない操作が必要だったのです。
この一手間は、LE Audioがまだ普及途上であることの証左です。アプリのUIもまだ洗練の余地があります。しかし、このハードルを一度越えてしまえば、そこには有線に迫る快適なワイヤレスの世界が待っています。
なぜ今、Air5 Pro+が最適解なのか?LE Audioイヤホン市場における立ち位置
LE Audio対応イヤホンは、今や多くのメーカーから登場し、まさに戦国時代の様相を呈しています。その中で、SOUNDPEATS Air5 Pro+はどのような立ち位置にいるのでしょうか。「ハイエンド」「コスパ」「低価格」という3つの視点から、その独自の価値を明らかにします。
vs ハイエンド機:「半額」で手に入るフラッグシップ級の体験価値
SONYやSENNHEISERなどが君臨する3万円以上のハイエンド市場。これらのフラッグシップ機は、最高の音質と機能を誇ります。Air5 Pro+も、LE Audio、LDAC/aptX Lossless、強力なANCと、機能面では彼らと肩を並べるスペックを持っています。
もちろん、絶対的な音の深みやブランド力、細部の作り込みでは差があるかもしれません。しかし、ハイエンド機の半額以下の投資で、その体験の核心部分に迫れるという事実は揺るぎません。これは驚異的なコストパフォーマンスです。まさに質実剛健。高望みはしないが、確かな実力が欲しい、という現実的なニーズに対する、完璧なアンサーと言えるでしょう。
vs コスパ機:「もう一歩先」を行く、音質と所有満足感
1万円前後の「安くて全部入り」で人気のコスパ機市場。一見すると、Air5 Pro+もこのカテゴリに属するように見えます。しかし、そこには明確な一線が引かれていました。
最大の武器は、新世代のxMEMSドライバーを搭載したことによる、音質への本気度です。従来のコスパ機とは一線を画す、クリアで解像度の高いサウンドは、音楽を聴く喜びを再認識させてくれます。加えて、-55dBというANC性能はこの価格帯では頭ひとつ抜けており、所有満足感を高める高級感のあるデザインも見逃せません。ただ安いだけではない。「買ってよかった」と心から思える、もう一歩先の満足感がここにあります。
vs 低価格機:ゲームの没入感を左右する「音質」と「ANC」の重要性
「とにかく安く低遅延を」と考えるなら、5,000円以下のLE Audio対応イヤホンも選択肢に入ります。その目的だけなら、と割り切るのも一つです。
しかし、ゲーム体験の質は、遅延だけで決まるものではありません。『原神』の壮大なBGMや美しい環境音を心ゆくまで味わうには、イヤホン自体の「音質」が不可欠です。そして、その世界に没入するには、現実のノイズを遮断する「ANC」が極めて重要な役割を果たします。Air5 Pro+がもたらす高い解像度と静寂は、ゲーム体験をただの「プレイ」から「冒険」へと昇華させてくれるのです。
実機レビューSOUNDPEATS Air5 Pro+の真価を試す




ここからは、SOUNDPEATS Air5 Pro+を2週間使い込んで見えてきた、その真価を個別に深掘りしていきます。先に結論を言うと、その実力は想像をはるかに超えるものでした。
音質:コーデックでさらに進化する、2万円クラスの極上サウンド




まず肝心の音質ですが、これはもう「すこぶる良い」の一言です。高音はキラキラと輝き、低音は力強く響く。それでいて、中音域も埋もれることなく、伴奏の細かな音までしっかり聞き分けられる解像度の高さ。SOUNDPEATSが得意としてきた音作りが、ここに極まった感があります。
以前、同レベルの感動を覚えたのは2万円クラスの有線イヤホンでしたが、それに匹敵する体験がワイヤレスで得られる。このイヤホンの基本性能の高さに驚かされます。そして、このサウンドは接続コーデックによって、さらに表情を変えます。
AndroidならLDACとaptXで、さらに高みへ
ハイレゾ音源をLDACコーデックで接続すると、音の奥行きと立体感がさらに増し、鳥肌ものの迫力を味わえます。また、本機はSnapdragon Sound認証を取得しているため、標準的なaptX接続でもLDACに迫るほどの高音質です。クアルコム製チップに最適化されているおかげか、非常に安定してリッチなサウンドを楽しめます。
「ハイレゾに強いこだわりはない」という方なら、aptX接続で十分満足できるでしょう。
iPhone (AAC) でも、がっかりする必要はない
ではiPhoneユーザーは楽しめないのか?というと、全くそんなことはありません。
確かにiPhoneではAAC接続となるため、Snapdragon Soundの恩恵は薄まります。
しかし、このイヤホンの真価は、xMEMSドライバーといったハードウェアの力で音質を根本から底上げしている点にあります。そのため、コーデックがAACであっても、並のイヤホンを凌駕するクリアでパワフルなサウンドを体験できます。
低遅延:有線と遜色なし。『原神』のプレイ体験が革命的に向上した

PCにLE Audio対応のUSBトランスミッターを接続し、『原神』をプレイしてみました。体感的には、有線とまったく同じで、自分がボタンを押したのとほぼ同時に効果音が鳴ります。
例えばダッシュの時。従来のワイヤレスイヤホンでは、キャラクターが地面を蹴り出した後、一歩踏み出したあたりで「ザッ!」という音が鳴っていました。しかしLE Audio接続では、地面を蹴り出すまさにその瞬間に音が鳴る。このコンマ数秒のズレが解消されただけで、操作との一体感が劇的に向上しました。
これは、良いキーボードでタイピングした時に、打鍵と同時に画面に文字が現れる、あの心地よさに似ています。音質の高さも相まって、ゲームへの没入感は過去最高レベル。これは革命的な体験です。
ANC性能:「-55dB」は伊達じゃない。雑踏が静寂に変わる瞬間
ノイズキャンセリング性能も「かなり高い」レベルです。「最大-55dB」というスペックは伊達ではありませんでした。
車通りの多い大通りで試したところ、ANCをオンにした瞬間、車の走行音が体感で1/3ほどにスッと小さくなります。自分の足音は完全にかき消され、音楽やゲームの世界に集中できる静寂が手に入りました。
もちろん、ANCの特性として高音域の音(人の会話など)は少し聞こえますし、地下鉄の轟音を完全に無音にできるわけではありません。しかし、この価格帯のイヤホンとしては、文句なしの性能と言えるでしょう。
デザインとケース:全てのイヤホンがこうなれば良いのに、と本気で思った




本体は黒を基調に、タッチセンサー部分に金色の差し色が入った高級感のあるデザイン。ケースも同様のツートンカラーで、所有欲を満たしてくれます。
特に称賛したいのが、このケースのギミックです。蓋が斜めにカパッと開き、イヤホン本体を手前にスッと引き出すだけで取り出せる。つまむ必要がなく、驚くほどスムーズ。全てのワイヤレスイヤホンのケースがこのスタイルだったらいいのに、と本気で惚れ惚れしました。
アプリと操作性:痒い所に手が届く、完成度の高い専用アプリ




専用アプリ「PeatsAudio」も、必要な機能が一通り揃っており、完成度が高いです。イコライザーでの音質調整、タッチ操作のカスタマイズ(あるいは無効化)、LE AudioやLDACコーデックのオンオフ、ファームウェアアップデートまで、これ一つで完結します。
かつての同社アプリに見られたバッテリー消費の多さといった問題も、今はありません。安定して使える、信頼できるアプリです。
2週間使って見えた惜しい点と、購入前の注意点
ほぼパーフェクトに近いSOUNDPEATS Air5 Pro+ですが、2週間じっくり使ってみて、いくつか惜しい点や注意すべき点も見えてきました。購入後に後悔しないためにも、ぜひご確認ください。
最大のマイナスポイント:ワイヤレス充電に非対応

本機で最も惜しいと感じたのが、充電ケースがワイヤレス充電(Qi)に非対応な点です。USB Type-Cでの急速充電には対応しているため実用上の不便は少ないですが、デスクの充電パッドに置くだけで充電、というスマートな運用はできません。最近の1万円以上のモデルでは対応していることが多いだけに、この点は明確なマイナスポイントと言わざるをえません。
マイク性能:「並」であることが、むしろ美点かもしれない
マイク性能は、正直なところ「可もなく不可もなく」というレベルです。ビジネスでの重要なWeb会議など、ノイズを嫌う場面での利用は避けた方が賢明でしょう。
しかし、これはマイナスポイントと断じるべきではないのかもしれません。本機はxMEMSドライバーの採用など、物理的な音質向上にリソースを振り切ったイヤホンです。そう考えれば、マイク性能は「並」の水準を確保するに留め、その分コストを音質やANCに集中させる、というのは極めて合理的な設計思想と言えます。
むしろ、他の性能をこれだけ高めながら、マイク性能を実用レベルにきっちり保っている点こそ評価すべきなのかもしれません。とはいえ、使う側としては割り切りが必要なのは事実。プライベート用途と割り切り、仕事では専用のインカムを使うのが賢明です。
LE Audioのスマホ接続は「覚悟」が必要なレベルで面倒


2.PeatsAudioアプリから「LEオーディオ」をオン
これでBluetooth LEオーディオで接続される
これはイヤホン自体の問題ではありませんが、現状のAndroid OSでは、LE Audioを有効にするために「開発者向けオプション」を操作する必要があります。(もちろん事前にPeatsAudioアプリから「LEオーディオ」をオンにしておきます)
そして、ここが最も重要な点ですが、この操作は一度行えば終わりではありません。イヤホン をケースに戻し、再接続するたびに、この設定はリセットされ、勝手に「HDオーディオ」がオンに戻ってしまうことがあるのです(※管理人環境のPixel 8aで再現)。
正直なところ、これは「非常に」面倒です。この挙動がOS側の仕様なのか、今後のアップデートで改善されるのかは不明ですが、記事執筆時点では、AndroidスマホでLE Audioの低遅延を安定して使いたい場合、開発者オプションを「HDオーディオ」がオフになっているか確認する手間を受け入れる覚悟が必要になります。
PCでの利用がメインの方には影響ありませんが、スマホでの利用を重視する方は、この点を必ず念頭に置いてください。
その他の細かい注意点
- 楕円形のノズル: 管理人にはぴったりでしたが、ノズルの形は好みが分かれる部分です。サードパーティ製のイヤーピースを使いたい場合、形状が合うか事前に確認が必要です。
- 終日の利用は難しい: バッテリーは十分持ちますが、朝から晩までつけっぱなしにするようなインカムとしての使い方には向きません。あくまで通勤・通学やゲーム・動画鑑賞の時間で都度充電する、という運用になります。
まとめ
総合評価:
- 有線に迫るLE Audioの低遅延
- 価格を超えたxMEMSの高音質
- ゲームに没入できる強力なANC
- 所有欲を満たすデザインとケース
- 機能が充実した専用アプリ
- ワイヤレス充電に非対応
- ビジネスには不向きなマイク性能
- 現状スマホでのLE Audio接続は面倒
PCゲーマーのワイヤレス化計画における「質実剛健な最適解」と結論づけたSOUNDPEATS Air5 Pro+。単なる「多機能なコスパイヤホン」ではありませんでした。xMEMSドライバーという最新の物理デバイスで音質を追求し、LE Audioで長年の課題だった遅延を克服する。ソフトウェア競争の時代から、再び「ハードウェアで殴る」という原点に立ち返ったかのような、SOUNDPEATSの本気が詰まった名作です。
PCゲーム環境を、音質も遅延も妥協せず有線から解放したい。音楽鑑賞も普段使いも、すべてを1台で高次元にこなしたい。そんな実用主義的な願いを持つ人にとって、これほどドンピシャなイヤホンは他にないでしょう。特に、PCでの利用がメインで、スマホでのLE Audio接続の手間を許容できるなら、これはもう「買い」だと断言できます。
管理人としては文句なしの★5です。他のイヤホンがかすんで見えるほどの、素晴らしい体験でした。
気になった方は、ぜひチェックしてみてください。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
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- 2025/11/20 23:59まで

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