正直、管理人はこれまでイヤーカフ型イヤホンの音質をなめていました。耳を塞がない構造上、空気層で音質が損なわれるのは物理的な宿命であり、音質はある程度割り切るものだと。
しかし、今回レビューするSOUNDPEATS Clip 1は、精細な音作りに定評のあるSOUNDPEATSが音質に全振りした一台。「Dolby Atmos対応」です。これは試さずにはいられません。「イヤーカフの音質限界を、技術はどこまで克服できるのか?」と。
結論、SOUNDPEATS Clip 1が鳴らす音は、管理人の浅はかな先入観を気持ちよく打ち砕いてくれました。この記事は、かつての管理人と同じように「イヤーカフって、結局はながら聴き用でしょ?」と思っているあなたにこそ読んでほしいと思います。
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SOUNDPEATS Clip 1の主な特徴と立ち位置
まずはSOUNDPEATS Clip 1が、市場でどのような立ち位置にある製品なのかを見ていきましょう。一言でいうなら「機能と価格のバランス感覚がちょっとおかしい、高コスパ機」です。



イヤーカフ型イヤホン市場で、「Dolby Atmos」のような空間オーディオ技術や、ハイレゾ相当の音質で聴ける「LDAC」コーデックに対応する機種は、ほとんどが2万円を超えるハイエンドモデルです。
SOUNDPEATS Clip 1の最大の強みは、それらの機能を搭載しながら1万円を切る価格を実現している点にあります。 おそらく、ワイヤレス充電のような利便性に関わる機能をあえて削ぎ落とし、コストを音質性能に全振りしたのでしょう。この一点突破な姿勢は、個人的には好みです。
主なスペックを以下の表にまとめました。
項目 | スペック |
---|---|
ドライバー | φ12mm デュアルマグネット・ダイナミック |
対応コーデック | LDAC, AAC, SBC |
オーディオ技術 | Dolby Audio, DynamicEQ™ Pro |
再生時間 | 本体:最大8時間 / ケース込み:最大40時間 |
防水性能 | IPX5 |
通信方式 | Bluetooth 5.3 |
その他機能 | マルチポイント接続, 装着検出, 低遅延ゲームモード |
イヤーカフの常識を覆す「力技」の高音質
選択と集中により、2万円クラスに迫る音質性能を1万円以下で実現したSOUNDPEATS Clip 1。その実力を深掘りしていきましょう。
結論、SOUNDPEATS Clip 1のサウンドは、単に「良い」と表現するだけでは物足りません。そこには明確な思想と技術が込められています。
執念が生んだ「高音質」の正体
Clip 1のサウンドは、「物理的な不利を技術でねじ伏せる」という、ある種の執念から生まれています。その立役者が「Dolby Atmos」と「DynamicEQ」です。
まず「臨場感」。これを担当するのがDolby Atmosです。ONにした瞬間、音が頭の中で鳴るのではなく、フワッと自分の周囲に音の空間が立ち上がります。まるでミニシアターにいるかのような感覚で、特に映画やライブ音源では、その場にいるかのような没入感を味わえました。
Amazon Musicをはじめ、最近はDolby Atmos対応音源を配信するサービスも増えています。対応サービスを契約している方は、ぜひ専用音源を聴いてみてください。Clip 1が持つ本来の実力に、きっと驚くはずです。
次に「解像度」と「迫力」。これを両立させるのがDynamicEQです。小さな音量でも低音が痩せることなく、バスドラムの「ドン」という力強いアタック感をしっかり鼓膜に届けてくれます。それでいて、各楽器の輪郭がぼやけることなく、SOUNDPEATSらしいクリアな見通しの良さも健在。これがサウンド全体の解像度をグッと引き上げています。


物理的な不利を補ってでも、絶対に良い音を耳に届けるという開発陣の強い意志を感じます。 見た目はスマートですが、中身は「物理的な不利? ならば技術という筋肉で解決だ」とでも言わんばかりに高音質をねじ込んできます。ある意味で、非常にクレバーな「脳筋」イヤホンです。
音域レビューと得意な音楽ジャンル
では、実際の楽曲ではどのように聞こえるのか。音域ごとに見ていきましょう。
- 低域: 「ズゥン…」と深く沈み込む重低音というよりは、「ドンッ!」と前に出てくる、アタック感の強い低音が特徴です。そのため、ヒップホップのビートやEDMのキックサウンドが非常に気持ちよく響きます。
- 中域(ボーカル): 楽器の音に埋もれることなく、比較的近い位置でクリアに聞こえます。ただし、Dolby Atmosの音楽モードでは少しリバーブ(残響)がかったような処理が施されるため、ボーカルの生々しさを味わうというよりは、空間全体の響きを楽しむチューニングと言えるでしょう。
- 高域: シンバルやハイハットの音は、シャリつくことなく綺麗に伸びていきます。耳に刺さるような不快感もなく、価格を考えれば十分な解像感です。
これらの特徴から、SOUNDPEATS Clip 1は特に映画のサウンドトラック、ライブ盤、そして打ち込み系のEDMやヒップホップといったジャンルにドンピシャです。
Truefree Clip C10と比較:音の解像度と迫力で差別化
管理人が以前レビューした「Truefree Clip C10」は、コストを重視しつつ、必要な性能でしっかり平均点を取る「低価格ベーシックモデル」の優等生でした。
SOUNDPEATS Clip 1は、そこから一歩踏み込み、追加コストを惜しみなく音質に注入した「アドバンストミッドレンジモデル」と言えます。Truefree Clip C10がクセのない素直なサウンドだとすれば、SOUNDPEATS Clip 1はDolby AtmosやDynamic EQによって明確に「リスニングの楽しさ」「臨場感」を追求したサウンドです。
Truefree Clip C10がイヤーカフの「これでいい」を満たす一台なら、SOUNDPEATS Clip 1は「これがいい」を積極的に選ぶ理由がある一台です。
ながら聴きを支える使い勝手とデザイン
SOUNDPEATS Clip 1は、音質だけでなく日常での使いやすさもしっかりと考えられています。ここでは、管理人が特に便利だと感じた機能と、少し好みが分かれそうなデザインについて触れていきます。
左右どっちでもOK、外せば止まる親切設計
Clip 1には、日々のちょっとしたストレスを解消してくれる機能が詰まっています。
まず便利なのが、左右どちらの耳につけても自動でステレオを識別してくれる機能。急な電話で慌ててケースから取り出す、なんて場面でも左右を確認する必要がありません。また、耳から外すと再生が自動で停止し、つけ直すと再開する装着検出機能も搭載。コンビニのレジで店員さんと話す時などに重宝します。
音質に注目しがちですが、こうした日常使いでの細かい配慮が行き届いている点もClip 1の大きな魅力です。 アプリを使えばタッチ操作を無効化できるので、満員電車での誤操作を防げるのも嬉しいポイントでした。
アクセサリー感覚の賛否分かれるデザイン
デザインについては、正直なところ少し評価が分かれるかもしれません。


本体はマットなシルバーで落ち着いた印象ですが、耳をはさむ部分に銀の光沢あしらわれており、良くも悪くも人目を引きます。管理人がつけている様子を見て、妻が「アクセサリーみたいだね」と言っていました。
ガジェットとして見るか、ファッションアイテムとして見るかで印象が変わりそうです。




充電ケースは光沢のあるシルバー仕上げ。高級感はありますが、このテカテカしたケース、どうにも傷がついたら自分まで傷ついてしまいそうで、少し丁寧に扱ってしまいます。指紋や細かな傷が気になる方は、ケースカバーを用意すると良いかもしれません。
このデザインを「アクセサリー」として楽しめるかが、評価の分かれ道になりそうです。ガジェット=黒!という人にはあわないかもしれませんが、カラーリングを楽しむタイプの人には向いていると思います。

ここは惜しい!SOUNDPEATS Clip 1の注意点
素晴らしい音質体験を提供してくれるSOUNDPEATS Clip 1ですが、万能ではありません。購入してから「こんなはずじゃなかった」と後悔しないために、管理人が感じた注意点を3つ正直にお伝えします。
ワイヤレス充電は非対応
最近のイヤホンでは搭載が増えているワイヤレス充電。SOUNDPEATS Clip 1は対応していません。
おそらく、1万円以下という価格でDolby Atmos対応を実現するために、割り切られた部分なのでしょう。
普段から充電環境をワイヤレスで統一している人にとっては、明確なマイナスポイントになります。有線での充電に抵抗がないか、ご自身の環境と照らし合わせてみてください。
マイク性能は「静かな場所なら」OK
マイクの性能は、利用シーンをはっきりと選びます。自宅でのオンライン会議や、静かな室内での通話であれば問題なく相手に声を届けられます。
しかし、駅のホームや交通量の多い屋外など、騒がしい場所での通話は正直きついと感じました。かなり声を張らないと相手に声が届かず、快適な会話は難しいでしょう。
SOUNDPEATS Clip 1はあくまで音楽リスニングがメインのイヤホンと捉え、通話機能は静かな場所での補助的な利用に限ると割り切るのが良さそうです。
とはいえ、これはマイクが口から遠い場所に来てしまうイヤーカフ型イヤホンの特性によるもの。SOUNDPEATS Clip 1だからこそ、ではない点は留意しておきたいところです。
電車内など騒がしい場所での限界
走行中の電車内であれば、おおむね音楽を楽しむことができます。しかし、駅のホームで特急が通過する時や、特に騒音の大きい地下鉄(例えば銀座線など)に乗っている時は、さすがに音楽がかき消されてしまいました。
これはSOUNDPEATS Clip 1の欠点というより、耳を塞がないイヤーカフ型イヤホン全体の特性です。 四六時中、完璧なリスニング環境を求める人には、正直なところ向いていません。ご自身の主な利用シーンが、極端に騒がしい場所でないかは事前に確認しておくと良いでしょう。
こんな人におすすめ
- イヤーカフ型でも音質には妥協したくない人
- 映画やライブ映像をイヤホンで楽しみたい人
- 2万円クラスは手が出ないが、最新のオーディオ技術を試してみたい人
まとめ
総合評価:
- 1万円以下でDolby Atmos対応の高コスパ
- イヤーカフの常識を覆す迫力のサウンド
- 左右自動識別など日常使いの機能が充実
- ワイヤレス充電に非対応
- 好みが分かれるかもしれないデザイン
SOUNDPEATS Clip 1は、「ながら聴きの利便性」と「高音質な音楽体験」という、これまで両立が難しかった課題に正面から向き合った意欲作です。
管理人的に優先度が高いワイヤレス充電がないのが痛かったのですが、それをかき消すほど音の迫力が優秀だったため、★0.5下げるにとどめました。
「イヤーカフは音質がイマイチ」という先入観を持っている人、イヤーカフの音質で挫折した経験がある人にこそ、試してみてほしい一台でした。
この新しいサウンド体験を味わってみてください。きっと驚くと思います。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
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