無線自作キーボードでトラボがラグる問題の最終兵器、USBオーディオトランスミッターUGREEN CM668を試す

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UGREEN CM668 Bluetoothオーディオトランスミッター

Windows PCにBluetoothインカムをつないでTeams会議をしつつ、ZMKベースの無線トラボつき自作キーボードを操作すると、マウスカーソルの動きがラグくなって使い物にならなくなる問題。

これじゃせっかく手に入れたroBacool642tbも宝の持ち腐れ・・・ということで、過去にレジストリに潜むゴーストデバイスの削除Bluetoothドングルによる電波環境の改善キーボード側のBluetooth電波出力強化など、さまざまな対策を試し、敗れてきました。

突き詰めて調べると、問題の根本はWindows OSの仕様だそう。

  • Bluetooth通信の優先度を決めるとき、リアルタイム性が求められる音声デバイスを優先するよう設計されている、かつ
  • その優先度判断基準は設定やレジストリでは変更不可。Windows同梱のBluetoothデバイスドライバーレベルの問題
  • なおWindowsはBluetooth親機を1つしか持てない(Macは複数持てるそう)

これじゃどうしようもないので、仕方なく「ハードウェアで殴る」という力技による最終解決を図ることにしました。

具体的には、Bluetoothインカム用と無線キーボード用でBluetooth親機を分ける、というものです。

  • PCのBluetooth:キーボード用
  • もう1つのBluetooth:インカム用(Windowsにはオーディオデバイスとして認識させる)

この2点目を実現するため、UGREENのUSBオーディオトランスミッターCM668を購入しました。

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なぜ「UGREEN CM668」を選んだのか

インカム専用のBluetooth親機を探す。そう方針を決めてから、製品選びは早かったです。

いくつかの明確な基準を持って探しました。

PCで使いやすいUSB-Aタイプが前提

Bluetoothトランスミッターには、大きく分けて2種類あります。一つはイヤホンジャック(AUX)で音を取り込むタイプ。もう一つは、USBポートから音も電源も取るタイプです。

仕事用のノートPCに常時接続することを考えると、後者のUSBタイプ一択でした。余計なケーブルで机の上がごちゃごちゃするのは避けたかったためです。

市場を見てみると、USB-C接続の製品はPS5などゲーム機専用のものが目立ちます。その点、昔ながらのUSB-A接続なら、まず間違いなくPCで使えます。

この時点で、選択肢はかなり絞られてきました。

専用ドングルという選択肢と、汎用性の天秤

同じような解決策として、ある製品が頭をよぎりました。Shokzの「OpenComm2 UC」です。

高品質な通話で有名なヘッドセットで、専用のUSBドングルが付属し、安定した接続を実現する、とされています。仕組みは、今回探しているUSBトランスミッターと同じでしょう。

しかし、管理人はあえてこちらの道を選びませんでした。理由はドングルの仕様です。

よく見るとこちら、非常にコンパクトなのは魅力的ではあるものの、

  • 適合機種がShokzの一部機種のみであること。
  • ドングル単品の価格が約6,900円と高額なこと(OpenComm 2 UCとのセットだと多少安くなるものの、それでも5000円オーバー)。

と、かなり攻めているのです。

ヘッドセットの選択肢が縛られるのは避けたいことから、今回はコンパクトさよりも、手持ちのインカムを使える自由度を優先しました。

信頼と価格のバランス、最後の一押しはセール

USB-Aタイプの製品をいくつか比較。その中でUGREENの製品が目に留まりました。

PC周辺機器でよく見る、信頼できるメーカーです。Shokzのドングルに比べると圧倒的に安く、お試しで買える価格感でした。ちょうどAmazonプライムデーセールにも遭遇。

汎用性とコストを考えた結果、UGREEN CM668が最適という結論に至りました。

UGREEN CM668 実機レビュー

注文後、製品はすぐに手元に届きました。早速開封して、その使い心地を隅々まで確かめてみます。

ここでは、外観からセットアップまで、正直な感想をお伝えします。

外観:ビジネスシーンに馴染むが、”出っ張り”は気になる

本体はマットな質感の黒色で、非常に落ち着いた外観です。

仕事で使うノートPCに挿しても、色が悪目立ちすることはありません。

ただ、サイズ感は少しだけ気になりました。PCのUSBポートに挿すと、1cmほど横に出っ張ります。ロジクールのLogiBoltドングルのような超小型のものと比べると、倍以上の長さです。見た目にも、なかなかの存在感があります。

この出っ張りがもたらすリスクは、不意の衝撃による破損です。長いぶん、横から力がかかるとボキッと折れてしまいそう。

PCをケースやカバンに入れて持ち運ぶとき、少し注意が必要でしょう。

セットアップの罠:ペアリングの鍵は「ダブルクリック」

実際のセットアップでは、少しだけ手こずりました。というのも、説明書通り本機とインカム両方をペアリングモードにするだけでは繋がらなかったのです。

解決策は、「両方をペアリングモードにした後、本機のボタンをダブルクリックする」でした。ダブルクリックは、付属の3.5mm AUXマイクを使うモードと、Bluetoothインカムのマイクを使うモードの切り替えに割り当てられています。おそらくBluetoothのHFPプロファイル(ハンズフリー通話)への対応のオンオフを切り替えているのだと思います。

今回使っているBluetoothインカムはHFPのみに対応していたことから、UGREEN CM668側もHFPを有効化する必要があったのでしょう。同じようにヘッドセットを繋ぐ方は、覚えておくと役立つかもしれません。

コーデック表示の謎:SBCのはずがaptX HDに?

無事に接続できた後、本体のLEDインジケーターの色を確認してみました。すると、どうやら「aptX HD」というコーデックで接続されていることを示しています。

しかし、管理人が使っているBluetoothインカムはSBCにしか対応していないはず。なぜこのような表示になるのかは、正直なところ謎のままです。

音声は問題なくクリアに聞こえているので、実用上は問題ありません。ただ、特定の高音質・低遅延コーデック(例えばaptX Adaptive)を目当てに買う人は注意が必要かもしれません。

接続するイヤホンとの相性によっては、意図したコーデックで繋がらない可能性も考えられます。

結果、ラグは完全に消え、快適な会議環境が戻ってきた

いよいよ、この新しい構成で仕事の現場に投入です。Web会議を立ち上げ、普段通りに資料をリアルタイムで更新していきます。意識的にトラックボールをグリグリと動かしてみました。

これまでであれば、1日に1回は必ず発生していた忌まわしいラグ。それが、この環境にしてから2日間、まったく発生しませんでした。カーソルは、いつでもスッと指の動きに追従してくれます。

これは、根本的な解決と言って差し支えないでしょう。

小さなハードウェアへの投資で、日々の大きなストレスから解放された瞬間でした。思考を遮られない快適さが、仕事の効率を明らかに改善してくれたのを感じます。

この製品は「買い」なのか?管理人なりの考察

管理人の抱えていた問題は見事に解決しました。

ただ、このUGREEN CM668が万人におすすめかと問われると、少し話は変わってきます。

その理由を、少し掘り下げてみましょう。

ソフトウェアの理想とハードウェアの現実解

本来であればこの問題、キーボードのファームウェア調整などで、ソフトウェア的に解決するのが理想です。本職でIT系に携わる人間としては、ついそう考えてしまいます。

事実、ロジクールのような大手メーカーの製品では、このようなラグはまず起きません。自作キーボードでもその境地に到れるはずです。

しかし、ロジクールは長年にわたりソフトウェアチューニングをしてきたのです。同じレベルを自作キーボードというDIYの世界で追求するのは、なかなかに険しい道と言えるでしょう。

自分の時間というリソースを考えた時、ハードウェアを追加する方がはるかに効率的。この判断は間違っていないとは思います。ただ、こだわりと現実的な最適解のバランスは、常に難しいものだな、と思わずにはいられませんでした。

この”力技”をおすすめできる人、できない人

この製品は、かなりターゲットを絞った解決策と言えます。

そもそも、管理人のように「Web会議中にトラックボールで資料スライドをリアルタイムで更新する」という状況自体がレアケースでしょう。ほとんどの人は、キーボードでメモを取るだけで事足りるはずです。

この力技が、特に強く刺さるであろう人は、以下のような方々です。

  • WindowsのBluetooth競合によるラグに、本気で悩まされている人
  • 特に、自作キーボードのような特殊な環境でその問題に直面している人

逆に言えば、上記に当てはまらない人にとっては、必ずしも必要な製品ではないかもしれません。

とはいえ別の(本来の)用途でも使える

一方で、本機はPCだけでなくPS5やSwitchにも対応しています。汎用性は非常に高いです。aptX Adaptive対応のイヤホンと組み合わせれば、動画やゲームをより良い音で楽しむ、という使い方もできます。

というより、むしろUGREEN CM668は本来はゲーム用途の製品であって、管理人の使い方が変態なだけなのかもしれませんね。

まとめ

総合評価:

大満足です。UGREEN CM668は、管理人のピンポイントな問題を一発で解決してくれる最終兵器でした。

Windowsの仕様という、個人ではどうにもならない大きな壁を、物理的に乗り越える手助けをしてくれたのです。管理人と同じニッチな悩みを抱える人の救世主とななるでしょう。

また、PCやゲーム機で高音質・低遅延の無線環境を手軽に構築できるという側面も持っています。そう考えると、実は多くの人にとって価値のある、懐の深い一品なのかもしれません。

一つ持っておくだけで、あなたのデジタルライフにおけるオーディオ体験(トラボつき無線自作キーボードを使いながらのWeb会議を含む)の幅がグッと広がるはずです。ぜひちぇっくしてみてください。

ここまで読んでいただきありがとうございました。

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