自作キーボードを仕事で使う。それはロマンと実用のせめぎ合い。見た目も手触りも好みに振り切ったキー配列で、今日も仕事がはかどる──とても素敵なことですよね。
でも、どんなに夢の構成でも仕事が止まったら台無しだ。自作キーボードを仕事道具として捉えている管理人はそう思うのです。
そんな管理人の悩みは、これまでほぼ有線オンリーだった左右分割トラボつきキーボードに無線という選択肢が出てきたこと。最近、有線版のKeyball 39にくわえ、最近は無線版のcool642tbも使うようになったのです。
正直どちらも愛してやまないキーボードです。それぞれに魅力と個性があり、とても悩ましいと考えていました。
ただ、仕事というフィールドに立つ以上、冷静評価しなければならないとすると・・・その評価は明確に分かれます。
この記事では、そんな2機種を以下の観点に分けて評価します。
- 仕事道具としての最低条件(必須要件)
- 快適に使うための加点条件(快適性要件)
仕事道具としての最低条件(必須要件)
仕事を止めないこと。仮に止まったとしてもすぐ復旧でき、恒久対処できること。これが仕事道具としての最低条件です。
詳しい要件はこちらの記事で述べていますが、要件を砕くと4つの観点に行き着きます。それぞれで考えていきます。
信頼性 ─ 確実に動くことが大前提
観点 | Keyball39(有線) | cool642tb(無線) |
---|---|---|
接続安定性 | ケーブル抜け以外ほぼ無事故 | 電池切れや電波干渉で不安定化の可能性あり |
BIOS/UEFI入力 | 対応(BitLockerも安心) | 非対応(OS起動後のみ) |
復旧の容易さ | ケーブル抜き差しで瞬時復旧 | 再ペアリング等で数分かかることも |
「動くかどうか」でなく、「いつでも確実に意図通り動くか」が信頼性の核心。
管理人にとっては、大事な商談前にキーボードの接続でまごつくのは絶対NGです。
その意味では有線のほうが圧倒的に信頼性が高いです。
耐久性 ─ 雑に扱っても平気か?
観点 | Keyball39(有線) | cool642tb(無線) |
---|---|---|
外装強度 | アクリル+FR4で丈夫。ミドルプレートで防御力高 | 厚めの3DPのプレート。ミドルプレートなし |
弱点部分 | USB端子とTRRS端子が露出 | 電池ケースやXiao BLEが露出 |
多少雑に扱ってもビクともしない。それが安心につながります。現場に出る道具はタフさも重要。
その意味でKeyball39は防御力高め。cool642tbは、管理人のビルドの場合は露出部分が多いため弱点が多くなり耐久面で劣ります。
メンテナンス性 ─ 壊れたらすぐ直せるか?
観点 | Keyball39(有線) | cool642tb(無線) |
---|---|---|
ファーム更新 | 左右MCUそれぞれ必要だがWebベースで簡単 | 簡単だがMCUリセット→書き込みの手順が少し多い |
交換パーツの入手性 | ProMicro系は入手容易 | XIAO BLEは海外通販(AliExpressなど)前提で国内即調達は難しい |
電源管理 | USB給電。運用に電池不要で手間なし | 乾電池式。約1週間ごとに交換が必要 |
清掃のしやすさ | 簡単(エアブローだけでOK) | 簡単(エアブローだけでOK) |
(補足)ログ取得 | USBログが即見られるが優先度は低め | 一時的にUSB化が必要。やや面倒 |
乾電池が切れたとき、「あ、今日もう使えない…」という絶望を味わった経験、管理人はあります。充電や交換のしやすさも立派なメンテナンス性です。
その他の観点を含めても、やはりKeyball 39に軍配が上がります。
代替可能性 ─ 「もしも」に備えられるか?
観点 | Keyball39(有線) | cool642tb(無線) |
---|---|---|
セカンド機の調達 | 高コストだが調達容易 | 比較的安価だが類似製品が少ない |
再セットアップ | 挿すだけ即復旧 | 再ペアリングなど復旧に一手間必要 |
パーツ流用 | 互換部品が豊富 | BLE周辺は専用品が多く難易度高め |
管理人は「替えが効く」というだけで気持ちが楽になります。壊れたその日に直せる/替えが効く──それは仕事を止めない最後の砦です。
これは有線と無線どちらが勝ちというのはあまりなく、有線がハングったら無線を使えばいいし、逆も然りだと思います。
快適に使うための加点条件(快適性要件)
仕事道具として自作キーボードを見る場合、「仕事を止めないこと」を満たして初めて、快適さを評価できます。
入力性能 ─ 「打って気持ちいい」を追求
観点 | Keyball39(有線) | cool642tb(無線) |
---|---|---|
入力遅延 | 超低遅延(約0.5ms) | やや遅延あり(3.5〜5ms) |
トラックボール性能 | 大型・高精度でスムーズ | 節電型で初動にややラグが出る場合あり |
他機器の影響 | なし | 他Bluetooth機器で干渉する可能性あり |
「パチッ」「ススッ」と気持ちよく操作できるかどうか。それだけで仕事のリズムが変わります。快適な入力体験は、些細なようで大きな武器です。
その意味では、有線は鉄板、無線は許容可能な範囲におさまっている、と捉えるとよいでしょう。
とはいえ、無線の場合はOSのBluetoothスタックの影響でトラボ操作に遅延が発生する可能性がある点は見逃せません。有線では発生し得ないので、どうしても加点少なめとなってしまいます。
携帯性 ─ どこでもすぐ使える軽快さ
観点 | Keyball39(有線) | cool642tb(無線) |
---|---|---|
重さ・手軽さ | ケーブルありでやや重い | 軽量でケーブルレス、非常に軽快 |
展開の早さ | ケーブル接続が必要 | 本体を置くだけで即使用可 |
荷物の量 | ケーブル類が増える | 本体+予備乾電池(or 充電池)も必要 |
無線は机上がすっきりし、出先での展開も楽。携帯性でいうと無線版の独壇場です。
ただし、充電池の持参やバッテリー残量への気配りも忘れてはなりません。自由さの裏には運用の工夫が求められます。
まとめ ─ 結局どう選べば良い?
- 仕事道具としての安心感と性能を最優先するなら → Keyball39(有線)
- 持ち運びや快適さを重視するなら → cool642tb(無線)
- どちらも好きで選べない人には → ハイブリッド運用(どちらも使う、または、無線モデルのUSB給電など運用で工夫する)
管理人はどちらも大好きです。用途や場面、気分に応じて使い分けています。
ただし、「あなたの仕事を止めないために、いちばん信頼できる相棒はどちらか?」と問われると、現時点ではKeyball39(有線)と答えざるをえません。
ビジネスパーソンとしては、多少かさばろうと、ケーブルが少しわずらわしかろうと、「仕事を止めない」を優先すべき、と考えるためです。
以上、管理人の自問自答をまとめたとりとめのない記事でしたが、参考になれば幸いです。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
コメント
乾電池を1週間で交換するという点について、頻度が高いなという印象を受けました。理由は電池切れですか、それとも仕事中に電池切れを起こさないようにするリスクヘッジですか?
電池や入力遅延の比較は気になっていたので、情報とても助かります。
コメントありがとうございます!
仕事中の電池切れを防ぐためのリスクヘッジです。1週間みっちり使った後、充電器に入れた時に残容量表示が真っ赤だったのを見て、これは2週間は辛いなと思ったのでこうしています。