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Amazonプライム会員向けの本読み放題サービス「Prime Reading」は日本上陸するか考察

Amazon Prime Readigのロゴ

アメリカのAmazonプライムに本の読み放題サービスPrime Readingが追加されたそうです。

参考 Amazon.com、プライム会員向けに“1000冊以上読み放題”の「Prime Reading」開始 – ITmedia ニュース

さてこのサービス、はたして日本にも来るんでしょうか?

既存の本読み放題サービスであるKindle Unlimitedのビジネスモデルとの関係性から考えてみました。

※追記 2017/10/05
上陸しました!!!→Amazonプライムリーディング

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期限:未定

Amazonプライム会員向け本読み放題「Prime Reading」とは

「Prime Reading」とは、アメリカのAmazon(amazon.com)が開始した、Amazonプライム会員専用の本読み放題サービスです。

読み放題の対象は、1000冊以上の電子版書籍、コミック、雑誌。ラインアップにはベストセラー作品や人気雑誌も含まれており、気軽に本を読みたい人にとってはとても嬉しいサービスです。

しかしこのサービス、本記事初出の2017年1月23日時点で、日本のAmazon(amazon.co.jp)では使えません。

Amazonプライム会員としては残念過ぎる・・・

と思ってしまうのですが、同時に

  • Kindle Unlimitedとのすみ分けは?
  • Amazonのビジネス的にどうなの?

という疑問が湧いてきました。これらの点から、「Prime Reading」が日本上陸する可能性を考察してみました。

Prime Readingの導入目的と背景を考察

Kindle Unlimitedへの動線?

Amazonで本の読み放題といえばKindle Unlimited。日本でも「お得!すごい!破壊的!」と大歓迎されたサービスです。

そんなKindle Unlimitedがありながら、なぜあえてPrime Readingという別サービスを立ち上げたのか。

単純に考えれば、 「クロスセル」のためでしょう。

  1. Kindle Unlimitedの会員数を増やしたい
  2. Amazonにゾッコンなプライム会員なら誘いやすい
  3. プライム会員向けに「本読み放題」をお試し提供して誘い込みたい

それなら早く日本にも展開すればいいじゃん。Prime Readingはよ!

と思うかもしれませんが……

Kindle Unlimitedの著者への報酬モデル、そして日本におけるKindle Unlimitedの使われ方の2点から考えてみると、Prime Readingの日本上陸は雲行きが怪しいように感じます。

Kindle Unlimitedのビジネスモデル

Kindle Unlimitedの著者報酬モデル
出典:Kindle Unlimitedは出版側にとって神か悪魔か – ITmedia Mobile

Kindle Unlimitedにコンテンツを提供した著者への報酬は、読んだページ数に応じて従量制で支払われるそうです。

一方、Kindle Unlimitedの利用料金は月額980円の定額制

これがなにを意味するかというと、ページ数の消費ペースが早いほどAmazonは損をする仕組みということです。

Kindle Unlimitedはマンガ国家日本ではペイしにくい

そこで、日本のKindle Unlimitedのラインナップを見てみましょう。

こちらのグラフをご覧ください。2016/10/06現在の日本のKindle Unlimitedのラインナップをカテゴリ別にグラフ化したものです。

Kindle Unlimitedの対象本ジャンル

上位30%近くがコミックとアダルトという、ページ繰りが早いコンテンツの代表格で占められています。

コンテンツのラインナップと実際にユーザが手に取る書籍数が比例するならば、日本のKindle Unlimitedは圧倒的にページ消費ペースが早いことになりますね。

ユーザの行動とコンテンツプロバイダーの提供するものがこの調子だと、AmazonとしてはいくらKindle Unlimitedユーザを増やしても儲けが出ない可能性があります。

著者へのページあたりの報酬単価を調整して差異を吸収するにしても、やればやるほど利益が出ない負け戦構造になっている以上、今のビジネスモデルを続ける限りAmazonにとって日本は魅力のない市場だということになります。

参考に、比較対象として、アメリカのKindle Unlimitedのラインナップも見てみましょう。

Kindle Unlimitedのラインナップ(アメリカ)

Literature & Fiction(文学・小説)やForeign Language(外国語)という文字文字しいコンテンツが上位2つ、30%を占めています

一方、Comic & Graphic Novels(マンガ類)は驚きの最下位。その内訳、わずか0.36%。

ページ繰りに時間がかかるコンテンツが多いぶん、月額課金と従量型報酬というモデルでもペイする。そのためクロスセルでユーザを増やすという判断に至った。なんて考えた透けて見えます。

Kindle Unlimited対象本が突如大量削除され騒動に

こんな事情が表面化したのが、ここ最近のKindle Unlimitedまわりの騒動でしょう。

Amazonが読み放題本のラインナップを変えてきたことで講談社が抗議したり、やまもといちろう氏が言及したりと、話題に事欠きません。

これらの騒動も先ほどの考察からすると

日本人がマンガ読みすぎ

日本の出版社はマンガに頼りすぎ

という市場環境が根っこだと思うので、抗議すること自体ナンセンスであるようにも思えます。

※2016-10-07追記
上記考察は図星だったようです。

参考 「5カ月分の予算が最初の1週間で消えた」―― 出版社社員が明かす「Kindle Unlimited」大混乱の理由 – ねとらぼ

Amazonプライムへの加入推進のため?

しかし、逆に

  • Kindle Unlimitedの拡充をストップ
  • Amazonプライムへ投資を集中

の方向でAmazonが動くとするならば、日本のAmazonプライムへPrime Readingが追加される可能性は十分にあります。

プライム会員の買い物額は通常会員の2倍

プライム会員のAmazonでの買い物額は通常会員の2倍だそうです。

そのため、プライム会員数を増やすことは、Amazonの売上アップにつながるため、Amazonプライムの特典を拡充し魅力を高め顧客を惹きつけるという方針は理にかなっています。

というか、昨今のAmazonプライムへの力のいれようを考えると、こっちの線が濃厚でしょう。

とはいえプライム会員値上げの線も

ただし、アメリカのAmazonプライムは年会費が100ドル近く、一方、日本では年額4900円。

こんなに安いプライム会員費で本読み放題まで追加するか、投資対効果はシビアに見られる可能性もあります。

もしくはプライム年会費の値上げも視野に入る可能性もあります。

宣伝目的の本であふれる可能性も?

仮にプライム年会費をおさえるなら、「お金を払ってでもPrime Readingに本を出したい」という人を募るはず。要するに、広告目的です。

とするとPrime Readingで読み放題になるのは、

  • 名を売りたい人
  • 本をネタに自分のビジネスに引き込みたい人

など、裏の目的を持った著者や出版社の本であふれる可能性もあります。

NAE
NAE

マンガや雑誌がトップに来る日本だったらの線が濃いかも……

日本上陸するとしたら、コストとラインナップ品質は要注意

つまりPrime Readingは、日本に上陸するとしても

  • 日本という市場特性から、金回りは結構厳しそう
  • そのぶん、プライム年会費の値上げや売名目的の宣伝本であふれるリスクあり

という、わりと渋い状況でのスタートとなる可能性があります。

コストとラインナップに要注目です。

まとめ:Amazonプライム会員向け本読み放題に期待

とはいえ、仮に宣伝目的の本がたくさんだったとしても、日本のAmazonプライムに本読み放題が追加されたらぼくはワクワクします。

超節約家なぼくが2年以上お金を払い続けているAmazonプライムがさらにお得になるってことですし、宣伝目的の本でも学びがあるものも多いでしょうし。

今後もAmazonの動向、Amazonプライムの動向に目が離せません。

以上、米アマゾンで発表された本読み放題サービス「Prime Reading」の日本上陸について考察してみました。

※追記 2017/10/05
上陸しました!!!→Amazonプライムリーディング

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