メカニカルキーボード

TECSEE Medium Tactileレビュー | 準ロープロMX軸。2mm低いだけでこんなにも違う

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NAE
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MX互換なのにロープロファイルと同じくらい背が低い軸があるらしい

と、自作キーボード界隈で噂になっていたTECSEE Mediumのタクタイル版を買ってみたのでレビューします。

MX互換軸よりキーが約2mm低くなるのが最大の特徴なのですが、たった2mm低いだけでこんなに違うのか!と驚きました

詳しく紹介していきます。

本キースイッチは「TECSEE Medium」「TECSEE Middle」「TECSEE Pudding Medium」などいろんな呼ばれ方をされていますが、本記事ではもっともよく使われている「TECSEE Medium」で統一します。
※そもそもTECSEE公式の商品ページのタイトルと説明文と商品画像で表記ゆれしてるのがすべての元凶と思われます・・・

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TECSEE Medium Tactileの仕様

  • Name: Mechanical keyboard switch
  • Brand:Tecsee
  • Switch:Medium
  • Tactile/ Linear Switch Type
  • Top Material:HPE
  • Bottom Material:PC
  • Spring : 11.5 mm
  • POM Linear Stem
  • Trigger Actuation Force:50gf
  • Bottom Force:63.5gf
  • Total Travel:2.5mm
  • Pre-Travel :1.3mm
  • Bottom:5 Pins
  • No Plating

TECSEE Medium Tactileレビュー

それではレビューしていきます。

デザイン:ひよこカラー

一部で「ひよこカラー」と呼ばれているカラーリング。

実際に手にとってみてもその通りで、ついチキンラーメンのアイツを思い浮かべてしまいます。ステムの卵黄っぽいので余計に。

ポップでかわいい雰囲気には好き嫌いがあると思いますが、昨今のキースイッチは色・柄・デザインが本当に幅広いため、そもそも外観を気にしすぎないほうが選択肢が広がるかと思います。

分解してみると、トップハウジングの背が低いぶん、ステムとスプリングも短くなっています。

なお一部ショップではファクトリールブ済と書いてあるのですが・・・肉眼でも触感でもルブられている感じはしませんでした。

TECSEE公式Webサイトではファクトリールブの話が一切出ていないあたり、一部ショップの情報が誤っているのだと思います。

普通のMX互換軸であるOutemu Silent Cream Yellowと高さを比べてみました。

ボトムハウジングはまったく同じ形、トップハウジングのみぺったんこになっていることがわかります。

実際装着して比べるとキーの高さが全然違うことがわかります。だいたい2mmくらい低いでしょうか。

この、たった2mmの高さの違いが、打鍵音や打鍵感に大きな影響をもたらしています。

詳細は次節にて。

打鍵音:静音軸じゃないのに静音

静音軸を含む他のキースイッチと比較してみました。

左から

です↓

TECSEE Medium Tactile、非静音なのに静音軸に近い音量です。

「静音軸だよ」と言われても違和感がありません。

実際の打鍵音を撮ってみました↓

とっても静かですね。少しだけカサカサというステムの擦れ音が聞こえるものの、このくらいなら打鍵音と呼ぶに値しないでしょう。

実際に会社に持ち込んで使いましたが、他の人がノートPCのキーボードをパチパチ叩く音のほうが目立っていました。

少し音が出やすいとされているタクタイル軸なのに、こんなに音が静かな理由は、ステムの総トラベル(上下の移動距離)が短いからです。

  • 音の大きさは、(物理でいう)仕事量によって決まる
  • 仕事量は、かける力と距離によって決まる
  • よって距離(トラベル)が短いと音も小さくなる

という導出ですね。(参考

キーボードの背の低さと静音性を求めている人に対し、TECSEE Medium Tactileは物理学をもって応えている形になります。

打鍵感:良くも悪くもカドが取れている

形状が特殊なキースイッチなので、細かくレビューするため、2つの観点に分けて書きます。

キーの打ちやすさ全般

高さがたった2mm低いだけで遠くのキーがこんなに打ちやすくなるなんて!と、びっくりしました。

ぼくはCorne Cherryなどの40%キーボードを主に使っています。指を動かすといってもホームポジションから1キーの範囲内です。

しかしそれでも、小指の斜め上のキーを押すには手を少し動かさなければなりませんでした。

パームレストがあれば解決するのですが、会社や外出先でも使いたいし荷物は少なく保ちたいので、パームレストなしのままどうにかならないかな、と。

それをTECSEE Medium Tactileの低さが解決してくれました。小指の斜め上のキーまで小指が難なく届くようになったんです。

結果、パームレストなしであってもホームポジションから手をずらさなくてよくなり、より打鍵が省力化されたと感じています。

たった2mmの差でJust for meと感じるほどの打ちやすさが手に入るなんて感動です。

指先の感触

指先の感触は総じて無難で、落ち着いた印象を持ちました。

軸がブレは、個人的な感覚ですが、底まで素直にストンと落ちるとは言い難いです。具体的には、最初はゆるめで、底に向かうほど1点に収束しているイメージ。

とはいえ、打鍵効率が損なわれるほどではありません。総トラベルが短いぶん、ブレの影響が小さいのかもしれません。

超こだわる人なら気になるかもしれませんが、そうでない8割の方には問題なしと判断してよいかと思います。

タクタイル感は、これも個人的な感覚ですが、少し弱めに感じます。

総トラベルが違うので単純比較はできませんが、

  • 標準的な軸(Gateron BrownやKailh BOX Brown)と同じか少し弱いくらい
  • 姫軸など激強タクタイルの爽快感に慣れた人からすると物足りなさを感じる

という印象。

総トラベルが短いぶんタクタイル感の伝わり方も弱めなのかもしれません。

総じて、総トラベルの短さが良くも悪くも打鍵感の特徴を打ち消す方向に働いているように思います。

ピーキーな打鍵感を求める人にはつまらないかもしれませんが、失敗を避けたい人には受け入れられやすいと思います。

耐久性:不明

通常は5000万回とか8000万回とか、打鍵回数のデータが出ているもの。

ですが、TECSEE Medium Tactileにはその数字がありません。各ショップの商品紹介ページを探しても、TECSEE公式Webサイトまでたどっても、情報がありませんでした。

通常のMX互換軸であれば、打鍵5000万回なら計算上は15年くらい持つことになるので気にしすぎる必要はありません。

しかしTECSEE Medium Tactileは形が特殊なニュータイプ。可能なら耐久テストの数字も出してくれる方が安心して買えるのにな、と思ってしまいました。

NAE
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予測ですが、総トラベルが短く打鍵時の仕事量(=衝撃)が小さいことから、通常のMX互換軸よりも長持ちするかも?しれません

注意事項:使えるキーキャップに限りがある

TECSEE Mediumシリーズは形状が特殊なので、使えるキーキャップのプロファイルが限られます。

詳細は遊舎工房TALP KEYBOARDの商品紹介ページにわかりやすくまとまっています。

人柱になりたい方以外は、必ず事前確認してから購入しましょう。

NAE
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ぼくのお気に入りであるXVXプロファイルXDALプロファイルでは無事に使えました

保証:なし

1個100円未満なので、メーカー保証はないものと思ったほうが良いです。AliExpressで買うならなおさらです。

なお遊舎工房やTALPKEYBOARDなど国内ショップでは、手持ちのキーキャップで使えなかったという理由での返品は不可能とされているのでお気をつけください。

実際に使ってわかったメリット・デメリット

以上のレビューから、TECSEE Medium Tactileのメリット・デメリットをまとめます。

メリット(良かった点)

  • 少しの押下で打鍵できて楽。かといってロープロファイルのようなペチペチ感がない
  • 静音軸レベルで打鍵音が静か。オフィスやカフェで使っていても騒音にならない
  • キーボードが薄くなって持ち運びが便利。パームレスト不要

デメリット(悪かった点)

  • 全体的に大人しい。打鍵に刺激や楽しさを求める人には向かない(逆に言うと仕事道具としては最適)
  • 全くの新シリーズなのでディスコンが心配(生産継続にはまとまった売上が必要。この記事が一助になるととても嬉しい)

TECSEE Medium Tactileはこんな人におすすめ

  • MX互換軸なキーボードの高さなるべく低くしたい
  • 打鍵音は小さい方が好みだ
  • パームレストは使わない(使いたくない)

まとめ:仕事道具としての機能要件にドンピシャ

総合評価:

ぼくが軸に求める機能要件にほぼフィットしています。

機能要件
  • デスクのミニマルさと外出先での取り回しを考慮し、パームレストは使わないでいたい
  • 外出先でも使うため、まわりの迷惑にならないよう打鍵音は静かであってほしい
  • 対応するキーボードやキーキャップのバリエーション的に、軸はMX互換一択
  • よってもって、ロープロファイルと同じくらい背が低いMX互換軸がほしい
  • キーキャップはお気に入りのXVXまたはXDALを使いたい

一方、打鍵が楽しいかと言われるとNoで、総トラベルが短いがゆえの「大人しさ」には一定の割り切りが必要だと感じます。

キーボードの使用感に求めるものは人それぞれですし、TPOによっても違います。

ぼくはどうかというと、キーボードは仕事道具であり、信頼性・耐久性・安定性が最優先だと考えています。

その意味でも、仕事道具と割り切りつつ求める機能要件を満たしてくれるTECSEE Medium Tactileは自分的にほぼベストフィットなのです。よって評価は★5としました。(キーボードに楽しさを求めたくなるときもありますが、でもそのときは別の軸を装備した別のキーボードを使えばいいや、と)

いろいろ書きましたが、結論、TECSEE Medium Tactileはぜひ一度手にとってみてほしいです。とってもおすすめ。。ただし買う前に手持ちのキーキャップが適合するかの確認はお忘れなく・・・。

以上「TECSEE Medium Tactileレビュー | 準ロープロMX軸。2mm低いだけでこんなにも違う」でした。

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