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「殿、ご決断を」が言えなきゃコンサルじゃない…意思決定支援の基本

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決断を促すコンサルタント

コンサルタントの仕事は多岐に渡るものですが、中でも最も重要なのが意思決定の支援です。

意思決定支援とは、今後取りうる現実的な選択肢を提示し、影響分析やかかるコストの試算を、推奨案を出したうえで「殿、ご決断を」と迫ることを指します。

扱うトピックは経営方針のレベルだけではありません。商品・サービスラインナップをどうするか、導入するシステム(ソリューション)をどれにするか、業務改善の方向性はどうするか・・・

プロジェクトの目的やスコープにもよるのですが、企業活動のあらゆる側面で発生する意思決定がコンサルタントの支援対象です。

その中で最も重要な基本姿勢が正しい情報・状況を正しく伝えることです。正しい決断は正しい情報に基づかなければなりません。

にもかかわらず、今朝読んだ記事の中で目を疑うような記載があったので、ピックアップします。

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経営層がほれ込む解決策は役に立たない?

それが、こちらの記事です。

参考 脱出! 暗闇プロジェクト - 「それだ!」と経営層がほれ込む解決策は役に立たない:ITpro

中身で述べられている事例を要約すると

  • ある業務で人件費がかさんでおり、経営層のやり玉にあがっている
  • 自動化や人件費削減は難しいと部長が何度言っても経営層は聞かない
  • そこにコンサルが現れ「こんなのシステム一発です」と吹き込んだ
  • その気になった経営層は「よしやれ」とシステム導入を決断
  • しかし調査の結果、システムによる自動化可能範囲は全体の3割、投資回収に8年かかる計算に
  • その事実を経営層に報告するだけでコンサル料を取っていいものか

・・・というもの。

これ、なにかおかしいと思いませんか?

 

「その事実を経営層に報告するだけでコンサル料を取っていいものか」

 

えーっと・・・なんでダメなの?

「ダメだった」報告に価値はないのか?

よく考えてみるとダメでしたという報告には価値がない。だからコンサル料を請求するのは気が引ける。

心情としてはわかりますが、「よく調べてみるとダメだった」という事実を明らかにしたこと自体はとてつもなく価値があるのではないでしょうか。

しかも企業の価値観に染まらずバイアスのないコンサルが第三者視点でフラットに調べ、評価したんですよね。なら本当にダメなんでしょう。

ダメなことをきちんと経営層に伝えないと、いつまでの担当部署は経営から詰められ続け、対策に人とコストを使い続けることになります。これものすごく無駄ですよね。

バイアスのない正直な報告を通じて経営層に気づきや納得を与え、将来の無駄な投資やコストを抑制し、売上や利益を上げてもらうこと。これもコンサルの出す価値の1つなんじゃないでしょうか。

聞こえのいい報告が正しいという風土はおかしい

「悪いニュースほど先に伝えろ」という言葉があります。悪いことはいち早く対応する必要があるため、問題が起こったらまず先に報告しろというベストプラクティスです。

これ管理職にとっては本当に金言なんです。いつのまにか組織を蝕む「見えない病巣」ほど管理職にとって怖いものはありません。

下記の記事にも書きましたが、見えないものは管理できませんし、課題を見える化する風土を築かないと組織はいずれ死ぬのです。

だから本来、聞こえのいい報告が正しいと勘違いする風土はちゃんちゃらおかしいんですね。むしろ悪い報告にこそ価値があると思って然るべきなんです。

「殿、ご決断を」が言えなきゃコンサルじゃない

にもかかわらず、企業の医者たるコンサルタントがクライアント企業の「悪い報告は気が滅入る」風土に巻き込まれ、同じ発想をしてしまう。

これがいかにおかしいかは、医者と患者の関係を考えれば明らかでしょう。診断で患部が明らかになっていながらそれをきちんと告知しない医者を、あなたは信用できますか?

まっとうな医者なら、診断で特定した病気についてとりうる治療方針を提示し、患者のQOLに基づいて決断を促すでしょう。

同じように、まっとうなコンサルタントならば、

  • 課題の本質的な原因はこれ
  • 御社の状況的に取りうる現実的な対策はこの3つ
  • それぞれのコストと影響範囲はこれ
  • われわれの知見に基づく推奨案はこれ

の4点セットを揃えたうえで、「殿、ご決断を」と迫れないといけないのです。

悪いニュースの報告は気が滅入ると言っている時点で、それはコンサルではなくただの御用聞きの機嫌取り。それじゃコンサルとしてはダメでしょう。

まとめ:悪いニュースも含めて報告できる風土を作ろう

以上、悪いニュースも含めて「殿、ご決断を」ができなきゃコンサルじゃないというお話でした。

実はこれ、コンサルだけじゃなくてあらゆるビジネスパーソンに当てはまります。

デキる人ほど悪いニュースを先出しで報告し、取りうる対策とセットで「どの方針がいいですか」と相談するものです。

それに「進捗どう?」と聞いたときに「全く問題ありません!」と元気に答える人より「問題ないですがこんなリスクがあります」と心配そうに答える人のほうが信用できます。

悪いニュースより良いニュースを報告したくなる気持ちはわかります。しかし、仕事上の「良い動き方」と人の心情の流れやすい方向性は必ずしも一致しません。

恐怖に負けず、勇気をもって、悪いニュースも含めた「殿、ご決断を」ができる。そんな風通しの良い組織風土を作ることが大事なのではないでしょうか。

 

とはいえ、悪いニュースの伝え方がわからない・・・という方向けに、課題やリスクの正しい書き方を下記記事で詳しく解説しています。参考までにぜひどうぞ。

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