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【追記あり】Paymeは企業を隠れみのにしたペイデイローンではないのか

Paymeコラム

給料の前払いという昔ながらの小口金融。そこにデジタルなアプローチで参入するサービスが、また1つ誕生するとのことです。

その名も「Payme(ペイミー)」。

参考 “3ステップで給料を前払い”、ミレニアル世代に向けた「Payme」が本日ローンチ | TechCrunch Japan

デジタルといえば聞こえはいいですが、ぼくにはどうしても「貧テック」になりかねないサービスのように見えました。

本記事では、その考えに至った根拠を述べます。

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Paymeとその仕組み

Paymeは一言でいえば「B2B型の給料前借りサービス」です。

  1. 会社がPaymeと契約する
  2. 従業員がPaymeアプリ経由で会社に前払いを申請する
  3. 最短即日で、従業員に前払い給与が支払われる

前払い可能な給与額は給与のおよそ70%。

突然の大きな出費に困る人にとって、給料前借りができるのは助かるでしょう。

Paymeの特徴

給料前借りサービスは従来もありました。

ではPaymeの違いはなにかというと、使いやすいUI/UXだそうです。

Paymeの違いはなんだろうか?24歳でPaymeを創業したCEOの後藤道輝氏によれば、それは若い世代でもストレスなく使えるUI/UXだという。

出典:“3ステップで給料を前払い”、ミレニアル世代に向けた「Payme」が本日ローンチ | TechCrunch Japan

煩雑で面倒、かつ実施にお金が支払われるまで時間がかかるのが従来のサービス。

そこをPaymeは簡単で優しく、最短即日で、としたところに価値があるのだそう。

Paymeの手数料は3~6%

そんな価値に支払う金額は、前借り給与額の3~6%とのことです。

手数料は3〜6%を予定していて、企業の信用度によって変動するという。

出典:“3ステップで給料を前払い”、ミレニアル世代に向けた「Payme」が本日ローンチ | TechCrunch Japan

たとえば給料を20万円前借りすると6000~12000円が手数料として抜かれることになります。

Paymeはこの手数料を利益の源泉とする貸金業ということですね。

その他詳しい説明は公式サイトにて。

参考 給与即日払いサービス【Payme】

手数料は誰が負担するのか?

さて、ここで注目したいのが手数料の負担先です。

仕組みのうえでは以下の通り、B2Bの取引になる形ですが・・・

  1. Paymeはアプリ経由で貸出実績を蓄積
  2. 上記をもとにPaymeが企業へ手数料を請求
  3. 企業がPaymeへ手数料を支払う

企業内の手数料の扱いまで考えると、手数料が従業員の給与から天引きされる形になる可能性が濃厚なのではないでしょうか。

企業観点からすると、身銭を切ってまで給料前借りを推進する理由はないからです。

Paymeを契約する企業は、おそらく次のように給与計算を行うでしょう。

  1. Paymeから前借り実績を受け取る
  2. 手数料金額を従業員毎に計算
  3. 給与計算で手数料を天引きする

つまり現実的には、従業員は前借り給与の3~6%を所属企業経由でPaymeに支払うだけになる可能性が十分にありえます。

Paymeは企業を隠れみのにしたペイデイローンか

この実情予測が正しいとすると、Paymeは実質、従業員の所属企業を隠れみのにしたペイデイローンということになります。

ペイデイローンとは、主に低所得者を対象とした給料前借りサービス。次回給与を担保に、消費者に直接お金を貸し付け、金利を取るビジネスです。

アメリカでは明日のお金に困った貧困層の足元を見た高利貸しがはびこり、文字通り「ご法度」になりました。Googleですらペイデイローンの広告出稿を禁止しています。

参考 Googleが年利数百%にも達する低所得者向け金融商品「ペイデイローン」の広告を禁止へ – GIGAZINE

とどのつまりペイデイローンは、形の上では「明日のお金に困る人を助ける小口金融」ですが、実態は「貧困層からさらに搾取するサービス」というわけです。

最近はこのような性質のFinTechサービスが非常に多く、「貧テック」とも呼ばれています。

そして「貧テック」に共通するのが、アプリなどを使ったなじみやすいUI/UXです。あまり考えずともカンタン操作でスルッと借り入れ完了……という算段ですね。

Paymeの特徴も「若い世代にストレスなく使えるUI/UX」でしたね。

Paymeの巧みな点

ただPaymeの場合、給与前借りをする消費者に直接貸付を行わない点が巧みです。

手数料を給与天引きにするかはあくまで企業側が決めることであり、そこにPaymeは介入しません。

いち企業の内部的な判断については誰も文句は言えませんし、外からも見えにくいものです。

おそらくPaymeは、そこの「ブラックボックス」に目をつけたのでしょう。とても巧みです。

が、企業をまたいだ責任の移転は、あたかもパチンコ屋と景品交換点(換金所)の関係のようにも見えます。

まとめ:倫理を欠いた知恵比べ?

新進気鋭のサービスの興隆が激しい日本のFinTech界隈ですが、

  • いかに法や規制をかいくぐるか
  • いかに貧困層から広く浅く儲けるか

という、倫理を欠いた知恵比べをしているだけのように見えてしまっています。

CASHやVALUなど先出サービスがいろいろやらかしているのを見てきたので「日本のFinTech=貧テック」という先入観がついてしまいそうです。

個人的には「お釣りで投資」からの投資信託誘導もこのパターンだと思っています。

参考 お釣りで投資などの少額投資系FinTechアプリは要注意?投資先の金融商品は…

こういった倫理欠如とやらかしの連鎖は、イノベーションの最大のストッパーである公的規制を呼び込みます。

イノベーション界隈の勢いを止めないためにも、自浄作用の組み込まれた倫理あるサービス設計をすべきではないでしょうか。

以上、新しく発表されたPaymeという給与前借りサービスについて、思うことを書いてみました。

Payme導入検討中の企業担当者の方へ

「Payme」という検索ワードで当記事がトップ近くに表示されている状況を鑑み、本業コンサルタントとして一言だけ申し添えます。

本記事は、あくまで著者の推測の域を出ないものです。本記事の内容のみを参考にPaymeの導入是非を判断するのは、ビジネスとしてフェアではありません。

公式サイトから請求可能な資料を含め、複数の情報ソースから取り寄せた正しい情報にもとづき、正しい判断をされますようお願い申し上げます。

資料請求 給与即日払いサービス【Payme】

追記:後藤CEOにインタビューしてきました

当記事をきっかけに、Paymeの後藤道輝CEOへインタビューする機会をいただきました。

ペイデイローン疑惑、違法性や社会性に対する批判、そしてPayme急成長の背景など、みっちり伺いました。

インタビューの一部始終は下記の記事にて。

Payme(ペイミー)は貸金?貧困搾取?後藤道輝CEOにインタビューしてきた
Payme(ペイミー)代表取締役CEOの後藤道輝さんに、違法性への批判や「貧困搾取」といった社会性の批判、ペイデイローン疑惑について、実際のところを伺いました。

追記2:経産省の公式見解が出ました

政府が用意する「グレーゾーン解消制度」を利用し、「サービス導入企業の従業員に支払う給与の前払いが労働基準法第11条に規定する賃金に該当する場合、貸金業法第2条第1項に定める貸金業に該当するか」を関係省庁に照会しました。

その結論として、弊社サービスについては「貸金業には該当しない」との回答をいただきました。

詳細については、下記ニュースリリースをご確認ください。 http://www.meti.go.jp/press/2018/12/20181220006/20181220006.html

出典:グレーゾーン解消制度に係る金融庁の回答について|株式会社ペイミーのプレスリリース

本記事を含めた批判に、後藤CEO、そしてペイミーが打ち勝ちました。

おめでとうございます!

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