世界初の複眼カメラ搭載スマホ「Nokia 9 PureView」。
5つのカメラと2つのセンサーで、従来のスマホカメラの10倍の光量を取り込める、というのが売り文句です。
しかし写真撮影において重要なのは、光量や画質はもとより、残したいその一瞬にラグなくシャッターを切れるか?です。
その点、Nokia 9 PureViewには一抹の不安が残ります。
そう考えた理由を書きます。
撮影スピードは、画像処理速度に依存する
Nokia 9 PureViewは、5つのカメラと2つのセンサーからインプットされる合計7枚の画像にもとづき、最適な1枚を出力(保存)します。
このとき本体内では、シャッターボタンを押すたび
- 撮影された7枚の画像を分析
- 画質がよくなるよう合成処理
- 最高の1枚を保存
という画像処理が実行されています。
画像処理速度が早ければガンガン撮影してサクサク保存できるんですが、逆に遅ければ1枚撮るごとに待ち時間が発生してします。
つまり、撮影スピードは画像処理速度に左右されてしまうんです。
処理の速度は、チップの構成に依存する
一方で、画像処理がどれだけ早くできるかは、スマホに搭載されたチップの構成に依存します。
特定用途向けチップを積んでいると速い
画像処理の速度は、一般的に
特定用途向けのチップ>>>GPU>>CPU
という関係にあります。
「特定用途向けのチップ」とは、たとえばAI処理に特化したiPhoneのBionicや、画像処理に強いPixelのVisualCoreなどを指します。
Pixelで高画質の写真を連写できるのは、VisualCoreがあるからこそです。
参考 Google Pixel 2レビュー(カメラ編):「スマホ史上最強性能」はダテじゃなかった
CPU頼りの画像処理は激遅い
逆にCPUでの画像処理は、体感でわかるくらい遅いです。
たとえば高性能CPUであるSnapdragon 845を搭載したハイスペックスマホ「OnePlus 6T」で、AIベースの画質調整を行う「ナイトモード」撮影を行うと、1枚撮影するたび5秒くらいの待ち時間が発生します。
こんなタイムラグがあっては、残したい瞬間を瞬時に切り取るなんて無理でしょう。
Nokia 9 PureViewの画像処理系チップ構成は未公開
つまり5+2つの複眼カメラを活かして快適に写真撮影ができるかは、専用チップを搭載しているかに強く依存することになります。
- CPUのみ → 撮影はラグだらけでイライラ
- 専用チップ搭載 → サクサク快適に高画質撮影
にもかかわらず、Nokia 9 PureViewのチップまわりで公開されているのはCPUにSnapdragon845を採用している点のみで、画像処理系のチップ構成は未公開。
5+2つのカメラで同時撮影された画像がどこでどう処理されるかはわかりません。
仮にCPUで処理されるとなると、ハイスペックを謳う中華スマホと同じく、「画質は良いが撮影はイライラ」という事態にもなりかねません。
10倍の光量を取り入れられるという特長が台無しになる可能性があります。
まとめ:ASICの可能性に賭けたい
とはいえNokiaブランド、かつカメラ特化のシリーズに与えられるPureViewの名を与えられたスマホです。
さすがに撮影スピードは担保されるよう設計されているでしょう。
カメラまわりにASIC(専用チップよりさらに高速なしくみ)が仕込まれているかもしれません。
引き続き、Nokia 9 PureViewの公式サイトでの続報を待ちたいと思います。
以上「世界初の複眼カメラスマホNokia 9 PureViewの撮影は快適なのか?一抹の不安が残る理由」でした。