torabo-tsuki LP(S)レビュー | 仕事道具としての適性が自分史上最高な逸品

5.0
torabo-tsuki LP(S) レビュー 全体像 19mmのキーピッチと白い19mm球の完成形

torabo-tsuki LP(XS)を、仕事用の持ち歩きキーボードとして7ヶ月使ってきました。配列も薄さも無線の安定も気に入っていて、引っかかっていたのは17mmのキーピッチだけ。薬指と小指がこすれる窮屈さは、7ヶ月経っても慣れで消えませんでした。

配列も作者も無線の基板も同じまま、キーピッチだけ19mmに広がるとどうなるのか。それが試したくて、2026年9月に19mmピッチのtorabo-tsuki LP(S)を買い足しています。高価なBMP Boostはtorabo-tsuki LP(XS)から移したので、新規支出は約21,000円でした。

3週間使った結果、薬指から小指の窮屈さはなくなりました。使いはじめて4日で、指先でキーを探す感覚も消えています。Bluetoothヘッドセットで通話しながらトラボを動かしてもカーソルはラグらず、無線の安定感はtorabo-tsuki LP(XS)のままです。

現時点で、無線の仕事道具としての総合はtorabo-tsuki LP(S)が最高だと思っています。ただし打鍵の感触だけなら、有線のKeyball 39がいまもベスト。耐久性と長期の信頼性は、3週間ではまだ判定できません。

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  1. 17mmの窮屈さをなくしたくて、19mmのtorabo-tsuki LP(S)を買い足した
    1. torabo-tsuki LP(XS)の外れは17mmだけだった
    2. 広がるとどうなのか試したくて、2026年9月に購入
    3. 新規支出は約21,000円
    4. BMP Boostを移すと、ファームウェアの設定が要らなかった
  2. 組み立ては30分で終わった
  3. 19mmのキーピッチ|窮屈さがなくなって、打ち方を考えなくなった
    1. 4日で、指先でキーを探す感覚がなくなった
    2. 寿司打のスコアは同じ。変わったのは脳のリソース
  4. トラックボール|25mmと19mmを使い比べて、19mmにした
    1. 最初の25mm球は数時間で慣れた
    2. 25mm球のカチャカチャ音は、スケボー用オイルで抑えた
    3. 小4の娘に好評だったトラボの音
    4. 19mm球に決めたのは、薄さと客先で目立たない白玉
  5. 持ち運びと接続|328gの実測と、スマホにつないだときの弱点
    1. 重さは5機種のなかで真ん中だった
    2. 電池ケースの面積は、上から見るとtorabo-tsuki LP(XS)やLiNEA40より大きい
    3. スマホにつなぐとスクロールが飛び、トラボ1つだと左右にも振れる
  6. 仕事道具として使えるか|4つの要件で見直す
    1. 信頼性|ヘッドセット通話中もトラボのカーソルがラグらない
    2. 耐久性|3週間では判定できない
    3. メンテナンス性|普段触るのは電池くらい
    4. 代替可能性|すぐ動く代わりはLiNEA40とKeyball 39
  7. 実際に使ってわかったメリット・デメリット
    1. メリット
    2. デメリット
  8. torabo-tsuki LP(S)はこんな人におすすめ
  9. 余談|スイッチとキーキャップの選び直し
    1. Kailh Purple Iris Miniは誤爆して、Islet Silentに替えた
    2. XVXキーキャップは、押し込むとトッププレートに当たる個体がある
  10. よくある質問
  11. まとめ:仕事道具として全力で推せる

17mmの窮屈さをなくしたくて、19mmのtorabo-tsuki LP(S)を買い足した

torabo-tsuki LP(S) レビュー キーピッチの比較 上が17mmのLP(XS) 下が19mmのLP(S)
上が17mmピッチのtorabo-tsuki LP(XS)、下が19mmピッチのtorabo-tsuki LP(S)。配列は同じで、キーの間隔が違う。

torabo-tsuki LP(XS)には、7ヶ月使って不満が1つだけ残りました。買い足しはその1点を消すためで、同じ設計者の19mm版を選んでいます。

torabo-tsuki LP(XS)の外れは17mmだけだった

torabo-tsuki LP(XS)の外れは、17mmのキーピッチひとつだけでした。配列も薄さも電池のもちも、会議中にトラボのカーソルが飛ばないことも当たりで、詳しくはtorabo-tsuki LP(XS)のレビューに書いています。

ゆっくり打つぶんには気になりません。速度を上げると薬指と小指がこすれ、指を閉じたまま打ち続ける緊張が手に残る。慣れで消えなかったのは、この窮屈さだけです。

広がるとどうなのか試したくて、2026年9月に購入

17mmが窮屈なら、2mm広がるとどうなるのか。それをどうしても試したくて、torabo-tsuki LP(S)を買いました。配列も作者も、無線の基板もtorabo-tsuki LP(XS)と同じ。キーピッチは2mm広い19mmになります。

購入は2026年9月です。設計者sekigonさんのBOOTHで、キットを19,330円で手に入れました。

新規支出は約21,000円

新しく払ったお金は約21,000円です。キットの19,330円に、ケース類の3Dプリント代が約1,800円。ケース類はJLCPCBに発注し、そのほかの部品は手持ちを流用しました。

いちばん大きいのは、BMP Boostを新しく買わずに済んだことです。乾電池だけでキーボードの制御と無線通信をまかなう基板で、1つ5,000円もします。左右で2つ要るところを、torabo-tsuki LP(XS)から外して移しました。

BMP Boostを移すと、ファームウェアの設定が要らなかった

BMP Boostを移して電源を入れるだけで、torabo-tsuki LP(S)は前の設定のまま動きました。キー配列を含め、ファームウェアは一切触っていません。

ハードの構成もペアリング情報も同じなので、当然といえば当然です。それでも、これまでは「キーボードを新しく組む」と、ファームウェアの準備が必ずセットで付いてきました。電源を入れた瞬間に、別のキーボードが前の設定で動く。この体験は新鮮そのものでした。

BMP Boostは、はんだ付けせずに抜き差しできるコンスルーという部品で基板に載っています。もともとは節約のために始めた移設です。コンスルーはこのためにあるのだと、その価値をあらためて認識しました。BMP Boostを積んだキーボードをすでに持っている人なら、ここは効きます。

組み立ては30分で終わった

はんだ付けなしで、手を動かした時間は30分くらいでした。キットは購入時点でV2になっていて、電池ボックスを含めて各種のはんだ付けが要りません。

torabo-tsuki LP(S) レビュー V2基板 キースイッチのソケットが実装済み
V2の基板はキースイッチのソケットが実装済み。はんだごての出番がない。

torabo-tsuki LP(XS)はV1だったので、比べると所要時間は圧倒的に短くなっています。torabo-tsuki LP(XS)を組んだときに、部品構成も構造も手順も頭に入っていたことも効きました。はんだごてを握ったことがない人でも、V2なら組み立ては手の届く範囲だと思います。

ただ、30分で終わったのは仮組みまで。JLCPCBに発注した電池カバーがまだ届いておらず、単3電池とBMP Boostがむき出しのままでした。

torabo-tsuki LP(S) レビュー 仮組み 単3電池とBMP Boostがむき出しで赤い25mm球
電池カバーが届く前の状態。単3電池とBMP Boostがむき出しで、赤い球が25mm球。

高価なBMP Boostを壊したくなかったので、この状態では外に持ち出していません。たまたまリモートワークが続いていて助かりました。

電池カバーと、torabo-tsuki LP(S)用の19mm球のトラボケースが届いて、ようやく完成です。

torabo-tsuki LP(S) レビュー 完成形 電池カバーと19mm球用のトラボケースを付けた状態
電池カバーと19mm球用のトラボケースを付けた完成形。

電池カバーは、取り付けに少し手間取りました。各プレートとのフィットがきつく、物理的な設計精度が高いぶん、付け外しにはコツが要ります。外すのは電池を替えるときくらいなので、目くじらを立てるほどではありません。

19mmのキーピッチ|窮屈さがなくなって、打ち方を考えなくなった

19mmに広げて確かめたかったことは2つありました。17mmで残っていた窮屈さが消えるか。それと、打つ速さと正確さが変わるか。

4日で、指先でキーを探す感覚がなくなった

使いはじめて4日で、打鍵のときに指先でキーを探す感覚がなくなりました。2日仕事をした時点で、もう「このキーどこだったっけ」と探す場面が減り、考えたことがそのまま画面に出てくるようになっています。

配列はKeyball 39と同じなので、覚え直すものがありません。ErgoDashやCorneから本格的に自作キーボードを使いはじめたこともあって、定番のカラムスタッガード配列が指に刷り込まれています。仕事で使うなら、やはりこの配列がいちばんです。

そのうえで、19mmのキーピッチは本当にちょうどよかった。17mmで感じていた、薬指から小指にかけての閉塞感がありません。指先がのびのびと動きます。大げさにたとえると、足の指の間を広げるストレッチをしたときの開放感に近い感覚です。

指と指の間に無駄な摩擦が起きないので、集中を妨げるものが1つ減りました。良い道具の必要条件は意識に上がらないことだと考えていて、19mmはまさにその状態です。17mmピッチで指の窮屈さを感じたことがある人には、この2mmが効きます。

寿司打のスコアは同じ。変わったのは脳のリソース

打つ速さと正確さは、19mmに広げても変わりませんでした。確かめるのに使ったタイピングゲーム「寿司打」の高級コースで、torabo-tsuki LP(S)の結果は「5440円お得」。torabo-tsuki LP(XS)でも、ほぼ同じスコアが出ています。

17mmでも、こすれてタイプミスが増えていたわけではありません。だから点数が同じなのは、考えてみれば筋が通っています。

変わったのは、打っているあいだの緊張感です。17mmでは指を閉じたまま打ち続け、こすれる摩擦を乗り越えるために脳のリソースを少しずつ割いていました。19mmではそこに何も割かなくていい。寿司打のスコアには出ない差ですが、仕事道具としてはこちらのほうが大きいと思います。

トラックボール|25mmと19mmを使い比べて、19mmにした

トラックボールは25mm球で組みはじめ、最終的に19mm球に落ち着きました。仮組みのあいだに両方を載せ替えて試し、最後は操作性以外のところで決めています。

最初の25mm球は数時間で慣れた

25mm球は、感度を調整しないまま使っても数時間で慣れました。指先の慣れとは恐ろしいもので、人間の感覚の調整機能はよくできています。

torabo-tsuki LP(XS)では19mm球にしたので、今回はあえて25mm球を選んでいます。Keyball 39で使っていた25mm球が、やっぱり手にしっくりきていたからです。キーピッチは19mm、トラボは25mm。この組み合わせが自分の手と指のサイズに合うのではないか、という仮説でした。

心配していたのは、ロープロファイルに25mm球を載せると、トラボケースが手のひらに当たらないかということ。cool642tbでは、この問題に悩まされました。torabo-tsuki LP(S)はトラボのセンサーをケースに斜めに差し込む仕様で、ケース自体の高さが抑えられています。手のひらにトラボケースは一切触れず、快適そのものでした。

数時間で慣れたとはいえ、感度は明らかに高めでした。球の径が大きくなったぶん、大雑把な指の動きで操作するようになり、カーソルの移動量が増えたためです。持ち歩くときに少し高さが出るのも、25mm球の代償。トラボの使い勝手とのトレードオフなので、ここはしょうがないと割り切っていました。

25mm球のカチャカチャ音は、スケボー用オイルで抑えた

25mm球で気になったベアリングの音は、スケートボード用のオイルを差して、思考の邪魔にならないレベルまで抑えました。

使っている25mm球はPerixxのものです。樹脂製の支持球だけでも十分にシャーッと動く専用品で、それをあえてベアリングで支えています。少しもったいない、宝の持ち腐れのような使い方です。

ベアリングで支えているので、滑りはすばらしい。そのかわり、少しだけカチャカチャ鳴ります。ベアリングの金属が、回転方向と垂直にぶれるときの細かい音です。19mmのPOM球では目立たなかった音が、25mm球だと聞こえてきました。

25mm球でも素材がPOMなら気にならないのでは、とも考えました。ただ、その前にベアリングの周りへオイルを少し差してみています。キースイッチ用のルブ剤ではなく、NINJAというスケートボードのホイールのベアリングに入れるオイルです。趣味でスケートボードをやっているので、なじみがありました。

結果は改善。完全に消えたわけではありませんが、思考の邪魔にならないレベルには落ち着きました。トラボのベアリングの音が気になっている人は、試してみる価値があります。

小4の娘に好評だったトラボの音

音の話のついでに、本筋から外れた家の中の出来事を1つ。オイルで抑えたトラボの回る音を、小4の娘は「気持ちいい」と評しました。

学校の宿題を集中してやりたいから、パパの仕事机を貸して。そう頼まれたときのことです。自分の学習机を片付けなよと思いつつ貸してあげたら、デスクに置いてあったtorabo-tsuki LP(S)のトラックボールをシャーシャー回していました。

「気に入ったの?」と聞くと、返ってきたのが「音が気持ちいい」。壊さないように丁寧に触ってね、と伝えたものの、そのあと5分くらいシャーシャーという音がずっと聞こえていました。

自作キーボードのよさは、10歳の子どもにも伝わるようです。

19mm球に決めたのは、薄さと客先で目立たない白玉

最終的に19mm球にしたのは、薄さと、客先で目立たない見た目のためです。操作性の差は、決め手になるほど開きませんでした。

torabo-tsuki LP(S) レビュー 19mm球 トラボケースの上端とキーキャップの上端が近い
トラボケースの上端とキーキャップの上端が近く、球の大きさもキーとそろう。

じつは仮組みのあいだに、一度19mm球に付け替えています。使いにくさは感じず、なにより薄いのがいい。トラボケースの上部からキーキャップの上端までの距離が縮まるので、収まりがよくなります。

それでもそのときは、25mmに戻しました。操作の正確さとスピードなら25mm、スリムさなら19mm。仕事道具として考えると、正確さとスピードを取るべきだと判断したからです。

考えが変わったのは、torabo-tsuki LP(S)用の19mm球のトラボケースが届いてからでした。

torabo-tsuki LP(S) レビュー 親指の可動域 右手の親指を19mm球に乗せたところ
親指の可動域のなかに19mm球が収まる。

あらためて19mm球で使ってみると、操作性は25mmとそれほど変わりません。torabo-tsuki LP(XS)で19mm球に慣れていたせいか、最初から自然に扱えました。それなら薄いほうがいい、と19mmで行くことにしています。なお、スクロールの感度は最終的にPC向けの設定の3分の2まで下げました。理由はスマホにつないだときの話とあわせて後述します。

見た目の面でも、19mm球には利点がありました。トラボとキーが同じ大きさなので、上から見てトラボが悪目立ちしません。無垢のPOM球の白玉も、モノトーンのデザインに収まってシュッとします。

自作キーボードを仕事で使うときに困るのが、客先や会議室です。ただでさえ分割キーボードは目立つのに、キートップやトラボが派手だと目立ってしょうがない。アイスブレイクの話題になるメリットはありますが、話の内容によっては場違いになります。たとえば白と紫のフリーザ様カラーを手元に置いたまま、客先の重役とシリアスな話ができるのか、という話です。

黒一色か白黒のツートンなら、そういう場面でも浮かないはず。torabo-tsuki LP(S)はまだ客先で使っていないので、ここは想像の話です。心配しすぎかもしれませんが、余計なところでマイナスを積まないことも、自作キーボードを仕事道具にするときに気をつけたい点だと考えています。

持ち運びと接続|328gの実測と、スマホにつないだときの弱点

持ち歩いて気になったのは重さと面積で、つないで気になったのはスマホでした。どれも致命的ではありませんが、買う前に知っておきたい部分です。

重さは5機種のなかで真ん中だった

torabo-tsuki LP(S)の実測は328gで、手元の5機種のなかではちょうど真ん中でした。

何か重いな、と感じたのは、プライベートの外出で小さな肩掛けカバンに財布とtorabo-tsuki LP(S)だけを入れたときです。キーボード単体で、けっこう重い。単3電池2本ぶんの重量感だろうと思いつつ、念のため実測してみました。

機種実測の重さ
LiNEA40241g
torabo-tsuki LP(XS)313g
torabo-tsuki LP(S)328g
roBa336g
Keyball 39(ケーブル込み)342g

LiNEA40の241gが飛び抜けて軽いだけで、ほかの4機種は313gから342gまで、29gの幅に収まっています。roBaやKeyball 39よりは軽く、キーボードとしては軽い部類です。

重く感じたのは、財布も小さくて軽いものを選んでいるせいで、相対的にキーボードが重くなっていただけだと思います。仕事用のカバンに入れるなら、まったく気になりません。デスクの上では、電池の重みでキーボードが安定するという利点もあります。持ち歩いて重さを感じる場面はあっても、実害はなし。

電池ケースの面積は、上から見るとtorabo-tsuki LP(XS)やLiNEA40より大きい

上から見た面積は、torabo-tsuki LP(XS)やLiNEA40より大きく見えます。目立つのは電池ケースの部分で、単3電池を積むぶん幅も高さも出るのが主な理由です。

最初に気になったのは、仮組みで使っていた時期でした。電池カバーがまだ無く、白いエネループが悪目立ちしていたせいもあります。これまで使ってきたのは、LiNEA40の極小の長方形と、torabo-tsuki LP(XS)の超小型・狭ピッチ。見慣れた2台と比べると、キー以外の部分の面積が大きく感じました。

2週間持ち歩いてみると、電池ケースの出っ張りはまったく気にならなくなっています。外付けなら100%キーボード、ノートPCに付いているものでも60%が普通です。30%キーボードばかり使っているせいで、ぼくの感覚が麻痺しているだけ。torabo-tsuki LP(S)も十分に小さくて薄く、一般的には「極限まで小さい」部類に入る、という感覚は忘れないでいたいところです。

ぼくにとってのtorabo-tsuki LP(S)は、持ち運びと操作性のバランスを少し操作性に寄せた機体です。多少面積が大きくても、操作性のためと割り切って使うのが正解だと思っています。

スマホにつなぐとスクロールが飛び、トラボ1つだと左右にも振れる

PC向けに合わせた感度のままスマホにつなぐと、スクロールが飛びすぎます。トラボが1つしかないので、上下に動かしたつもりが左右にも振れました。

試したのは会社のiPhoneです。torabo-tsuki LP(S)の左右の間に、スマホホルダーで立てたiPhoneを置いて使いました。打鍵はもちろん快適。スワイプのような操作も、普段から親指でスワイプしているぶん、トラボだとやりやすく感じます。

困ったのはスクロールの感度でした。少しスクロールするだけで画面3枚分くらい飛んでいくので、親指の操作がシビアになって気を使います。ZMKでは接続先ごとに感度を切り替える機能は実装できないようなので、PCとスマホのどちらでも扱える感度に寄せました。スクロール関係のスケーラーの値を調整して、それまでの設定の3分の2にしています。

左右に振れるほうは、Google Keepでメモを書いていたときに出ました。上下にスクロールしようとトラボを回すと、ちょっとした左右の動きも拾って、メモが左右に振れるんです。こういう細かい使い勝手は、ロータリーエンコーダーが欲しくなるところ。LiNEA40は、ここが実に上手でした。

どちらもtorabo-tsuki LP(S)に限った話ではなく、ロータリーエンコーダーのないトラボ付きキーボード全般の弱点です。スマホとPCを1台で行き来する人は、感度を両方の間で妥協させる必要があります。

仕事道具として使えるか|4つの要件で見直す

仕事道具としての自作キーボードには、信頼性・耐久性・メンテナンス性・代替可能性の4つが要ると考えています。3週間で言い切れるのは信頼性までで、耐久性は判定できず、メンテナンス性と代替可能性は見込みを含みます。

信頼性|ヘッドセット通話中もトラボのカーソルがラグらない

3週間、無線の切断や遅延に気づいたことは一度もありません。Bluetoothヘッドセットで通話しているあいだも、トラボのカーソルはラグらずに動きます。

BMP Boostをtorabo-tsuki LP(XS)から移しているので、無線まわりの構成はtorabo-tsuki LP(XS)と同じです。torabo-tsuki LP(XS)では7ヶ月、通話中のカクつきが一度も再現していません。以前の機体では原因を追いかける記事を書くほど悩まされた症状なので、ここが同じであることの価値は大きい。Web会議でトラボを使う時間が長い人ほど、この項は効きます。

耐久性|3週間では判定できない

耐久性は、3週間では判定できません。torabo-tsuki LP(XS)のほうは7ヶ月使って、無線の切断もネジ穴の不具合も一度も出ていない。とはいえ筐体はtorabo-tsuki LP(S)用の別物なので、その実績をそのまま当てはめるわけにはいきません。

メンテナンス性|普段触るのは電池くらい

普段の手入れで触るのは電池くらいで、触る機会も少ない見込みです。torabo-tsuki LP(XS)の電池が数ヶ月もったことから、電池交換は数ヶ月に一度と見ています。ただし、単3電池で実際にどれだけもつかは、まだ確かめていません。

はんだ付けがないので、部品の付け替えで困ることもなさそうです。BMP Boostをはんだなしで抜き差しできることは、移設で確かめ済み。手間がかかるとすれば3Dプリントの部品で、壊れたら発注して届くまで待つ時間が要ります。

代替可能性|すぐ動く代わりはLiNEA40とKeyball 39

torabo-tsuki LP(S)が使えなくなったとき、すぐに動く代わりはLiNEA40とKeyball 39の2台です。ただしLiNEA40は配列が違います。

torabo-tsuki LP(XS)は、BMP Boostを抜いたままなので動きません。2台で共有しているBMP Boostは、壊れれば両方が止まる単一障害点です。できれば両方使いたいものの、BMP Boostをもう2つ買い足すのは、ちょっと気が引けます。仕事用はtorabo-tsuki LP(S)に統一するつもりです。

実際に使ってわかったメリット・デメリット

3週間ぶんの評価は、メリット5つとデメリット3つに落ち着きました。

メリット

いちばん大きいのは、19mmのピッチで指の窮屈さが消えたことです。残りの4つは、torabo-tsuki LP(XS)の良さを引き継いだ部分と、買い足しならではの手軽さでした。

  • 19mmピッチで薬指と小指が窮屈にならない torabo-tsuki LP(XS)の17mmで7ヶ月消えなかった閉塞感がなく、4日で指先でキーを探す感覚も消えた
  • ヘッドセット通話中もトラボのカーソルがラグらない BMP Boostを移した構成で、無線の安定感はtorabo-tsuki LP(XS)と同じ
  • BMP Boostを移すだけで前の設定のまま動く ファームウェアの設定が要らず、新規支出も約21,000円で済んだ
  • はんだ付け不要で、組み立ては30分 V2は電池ボックスまで、はんだ付けが要らない
  • 19mmの白玉が悪目立ちしない キーと同じ大きさで、黒い本体とのツートンに収まる

デメリット

3つとも、減点としては小さいものです。どれも使う場面が限られるか、設定や段取りでかわせます。

  • スマホにつなぐとスクロールが飛ぶ PC向けの感度のままだと、少しのスクロールで画面3枚分ほど飛び、トラボ1つなので左右にも振れる。PCだけにつなぐ人には無縁の話。スマホとPCを行き来するなら、スクロールのスケーラーをPC向けの3分の2まで下げると両方で扱える範囲に収まった
  • 単3電池2本ぶん重く、上から見た面積も大きい 実測328gで、小さな肩掛けカバンに財布と2つだけ入れると重さを感じる。仕事用カバンで運ぶ人には気にならない重さ。軽さと小ささを最優先するなら、torabo-tsuki LP(XS)の313gかLiNEA40の241gを選ぶ手がある
  • 3Dプリントの部品は届くまで待つ 電池カバーとトラボケースはJLCPCBへの発注品で、届くまでは外に持ち出せなかった。在宅で組んで使いはじめる人なら困らない。キットと同時に発注しておけば、待ち時間を短くできる

torabo-tsuki LP(S)はこんな人におすすめ

向いているのはこんな人です。

  • torabo-tsuki LP(XS)の17mmが窮屈だった人 配列はそのままで、薬指と小指の閉塞感がなくなる
  • Web会議でトラボを使う人 ヘッドセット通話中もカーソルがラグらない
  • BMP Boostをすでに持っている人 移すだけで、前の設定のまま動く

逆に、次のような人は無理に選ばなくていいと思います。

  • 極限まで小さく軽くしたい人 328gで、LiNEA40の241gやtorabo-tsuki LP(XS)の313gより重い
  • スマホとPCで別々の感度を使いたい人 ZMKでは接続先ごとに感度を切り替えられない
  • 組んですぐ外へ持ち出したい人 3Dプリントの部品が届くまで待ちが出る

余談|スイッチとキーキャップの選び直し

スイッチとキーキャップの話は、torabo-tsuki LP(S)そのものではなく、ぼくのセットアップの話です。キースイッチやキーキャップが手に合うかどうかは、機体とは切り離して考えるべきことなので、余談として置いておきます。

Kailh Purple Iris Miniは誤爆して、Islet Silentに替えた

キースイッチは、Kailh Purple Iris MiniからKailhのIslet SilentのChoc V2版に替えました。Kailh Purple Iris Miniだと、キーに指を置いただけで誤爆することが多かったからです。

不思議なのは、torabo-tsuki LP(XS)ではKailh Purple Iris Miniでないと「重い」と感じていたこと。同じスイッチでも、機体が変わると評価がひっくり返りました。

Islet Silentにも気になる点はあります。打鍵したときのちょっとした金属音と、静音性の弱さです。MX互換軸でOutemuの静音軸に慣れきった感覚だから、そう感じるのかもしれません。

XVXキーキャップは、押し込むとトッププレートに当たる個体がある

XVXプロファイルのキーキャップは、Choc V2のスイッチではギリギリ使えませんでした。押し込んだときに、キーキャップがトッププレートにぶつかる個体があるためです。

ロープロファイルのキーキャップではなく、XVXプロファイルを使いたい。そう考えて入れ替えてみたものの、ぶつかる個体とぶつからない個体が混ざっていました。個体差がある時点で使えません。Oリングを付けても変わらなかったので、このアイデアは諦めています。

同じことを試した先人の記事は見かけていました。それでも、実際に試さないと気が済まなかったので実験しています。ちなみにXVXプロファイルは、のちにISAプロファイルへ改名されました。

よくある質問

Q
torabo-tsuki LP(S)の組み立てにはんだ付けは必要ですか。
A

V2なら必要ありません。ぼくが購入したキットはV2で、電池ボックスを含めてはんだ付けが要らず、手を動かした時間は30分くらいでした。ただし30分は仮組みまでで、JLCPCBに発注した電池カバーとトラボケースが届いて完成です。

Q
torabo-tsuki LP(S)の重さはどれくらいですか。
A

実測で328gでした。手元の5機種ではちょうど真ん中で、LiNEA40の241g、torabo-tsuki LP(XS)の313gより重く、roBaの336g、Keyball 39のケーブル込み342gより軽い結果です。単3電池を使うぶんの重さですが、仕事用のカバンで運ぶなら気にならない重さだと感じています。

Q
torabo-tsuki LP(XS)のBMP Boostは、そのままtorabo-tsuki LP(S)に移せますか。
A

ぼくの場合は移せました。BMP Boostを移して電源を入れるだけで、ファームウェアの設定は触らずに前の設定のまま動いています。ただしBMP Boostを抜いたtorabo-tsuki LP(XS)は動かなくなるため、2台を同時には使えません。

Q
スマホにつないでも使えますか。
A

使えますが、PC向けの感度のままだとスクロールが飛びすぎます。ZMKでは接続先ごとに感度を切り替える機能が実装できないようなので、ぼくはスクロールのスケーラーをそれまでの設定の3分の2に下げ、PCとスマホの両方で扱える範囲に収めました。これはロータリーエンコーダーのないトラボ付きキーボード全般の弱点です。

まとめ:仕事道具として全力で推せる

総合評価:

現時点で、無線の仕事道具としての総評はtorabo-tsuki LP(S)が自分史上最高です。無線トラボ付き分割キーボードは、cool642tb、roBa、LiNEA40、torabo-tsuki LP(XS)と試してきましたが、一番しっくりきました。

★5.0の理由は2つ。ヘッドセットで通話中もトラボのカーソルがラグらない、仕事道具としての信頼性。そして、19mmのキーピッチが脳のリソースを無駄に削らない、手へのフィット感です。

ただし、項目ごとに見れば1位ではありません。思考をそのまま画面に送り込む打鍵の感触なら、有線のKeyball 39とOutemu Silent Peach V3の組み合わせがいまもベストです。小ささと軽さなら、torabo-tsuki LP(XS)とLiNEA40に分があります。

とはいえ、満足度は非常に高い。torabo-tsuki LP(XS)を持っていながら買い足した価値はありました。torabo-tsuki LP(XS)に戻るのは、気に入った17mm用のキーキャップに出会ったときくらいだと思います。仕事道具としてtorabo-tsuki LP(S)は自分の最適解だと思います。

ここまで読んでいただきありがとうございました。

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