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仕事の無茶振り対策に有効な「5つの逆質問」

無茶振り対策計画・段取り

夜10時になって「明日の朝イチまでで!」と言ってくる無茶振り

頼まれた瞬間に顔が歪む無理のありすぎる依頼、マジメに受けていると身も心も滅ぼしてしまいます。

ではどのように対処したらいいのでしょうか?

今回は無茶振りによる被害を最小限におさえる、論理的で正しい対応方法をご紹介します。

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無茶振りとは?

まずは無茶振りとは何なのか、定義していきます。

無茶振りとは「仕事の5W1H」が破綻している依頼を指します。

仕事の5W1Hとは

仕事の5W1Hとは、仕事(の依頼)を構成する以下の要素です。(上から順番に重要)

  • Why:なぜその仕事が必要か
  • What:達成すべきことはなにか
  • When:期限はいつか
  • Who:誰がやるのか
  • How:具体的な方法はなにか
  • Where:どこでやるか

仕事の実現性を担保するには、これら5W1Hのバランスが取れていることが必須です。

無茶振りは5W1Hがアンバランス

一方、無茶振りの仕事は5W1Hのバランスが崩れています。

  • 達成事項(What)に対し、期限(When)が短すぎる
  • 人員が少ない(Who)のに、達成事項(What)は大きい
  • 必要性(Why)だけ主張し、できる道筋(How)を示さない

いずれも現実的とはいえないででしょう。

言い換えれば、期待値があまりに高すぎるのです。

常に期待を超える成果を出し続ける方法「期待値コントロール」
期待を超える成果を出すための具体的なアプローチと方法を伝授。成果を増やすのではなく、期待値を下げて1ミリ超えること。

無茶振り対策に有効な5つの逆質問

そんな5W1Hの崩れた無茶振り。対策としてやるべきは、5W1Hのバランスを整えることです。

5W1Hの各観点に「逆質問」を投げかけることで、アンバランスを是正していきます。

どのような質問か、見ていきましょう。

Why:その仕事の価値は?

まずは、そもそもその仕事はやるべきものか?を確認します。

すべての仕事には意味、つまり「やる価値」があるはずだからです。

「全ての仕事には意味がある」の本当の意味
目の前の仕事に意味が無いと感じているなら、ぜひ2段階高い視点からその意味を検証しましょう。

にもかかわらず、もし依頼者が「やる価値」を明確に言えないなら、その仕事はやるだけ無駄な可能性が高いでしょう。

やる必要のない仕事は、依頼されても遠慮なくNoを突きつけるのみです。

質問例

  • 「何があったか教えてください。背景がわからないと的はずれなことをしてしまう可能性があります。」
  • 「この仕事の位置づけはなんでしょうか。全体の動きの中でこの仕事の果たす役割を教えてください。」

When:その期限って本当?

次に、期限の妥当性を確認します。「期限がそこである理由は?」ということ。

ここで明確な答えが返ってこない、または実は必ずしもその期限でなくてよいことがわかったら、すかさずあるべき期限と遅れの見極めに入りましょう。

たとえば「月曜朝イチまでに会議資料作って」と言われたものの、実際の会議は火曜の夕方だったら?

たとえば設定された期限に遅れても誰にもなにも迷惑をかけない状態だったら?

「月曜朝イチまで」が、いい加減に設定された根拠レスな期限だとわかるでしょう。

質問例

  • 「全体スケジュールはありますか。その中でこの仕事はどこにあたるものですか。」
  • 「この仕事が月曜朝イチまでに終わらなかった場合のスケジュールへの影響を教えて下さい。」

What(量):達成すべき成果は?

次に、出すべき具体的なアウトカム(成果)アウトプット(成果物)を確認します。

無駄なものを作りすぎないように、やるべき作業を減らしにかかるのです。

たとえば、直近2ヶ月の世界の株式市場動向を30分くらいで説明するプレゼン資料を作ってくれ、と依頼されたとします。

この仕事のアウトカム(成果)はなんでしょう? 3分で1枚話すとして、10ページもののプレゼン資料がを作ればいいのでしょうか。

違います。アウトカムは発表者が株式市場動向を話せる状態であることです。

したがって発表者が話せるなら作るアウトプット(成果物)はなんでもいいはずでしょう。

日足チャートのコピペ、注目ニュースの見出し一覧、今後の展開への示唆をまとめたテキストファイルなど、発表に使える材料やストーリーさえあれば、手間暇かけてキレイなスライドを作り込む必要はありません

このように、アウトカム実現に必要なアウトプットを細かに確認・検証し、省力化の余地を探れば、無駄な作業を削れるのです。

質問例

  • 「月曜朝イチ時点で何が(誰が)どういう状態になっていればいいですか。」
  • 「そのために作るべきアウトプットは具体的に何ですか。それが絶対に必要な理由はなんですか。」

What(質):優先順位、品質目標は?

次に確認するのはアウトプットの品質です。

最低限の品質ラインを確認することで、過剰品質による無駄をおさえます。

たとえば、期限が極端に短いタイプの無茶振りの場合を考えてみましょう。

頼まれたものすべてを100点に仕上げるのは期限の関係でそもそも難しい状態です。

優先度の高いものは品質高くこなすが、低いものはスピード重視で低品質でも良いか?と依頼側に伝えます。

これにより、その仕事にかける工数を減らすのです。

質問例

  • 「必要なアウトプットの中で優先度をつけるとしたらどのような順番になりますか。」
  • 「優先度が低いものは品質が担保できない可能性がありますが問題ありますか。具体的には・・・」
  • 「優先度が高いものについても品質を妥協せざるをえないとしたら、どのくらいまで許容できますか。」

How/Who:段取りと役割分担は?

ここまでの議論で、やるべき仕事は質・量ともに最小限に絞られ、期限も最適化されています。

次は、自分のやることを減らします。平たくいえば段取りと役割分担です。

自分以外の人を巻き込んで、協力して無茶振りの仕事をやっつけるのです。

ここでは、頼まれたら断れない=その仕事に責任がある=仕事の依頼者本人を巻き込んでみるのが有効です。

  • 振られた仕事を作業に分割し、その中で依頼人自らやった方が早く終わるor品質が上がるものを任せる
  • ドラフト版の作成は自分、最終化は依頼人、というようにプロセスを分担する
  • 25%くらいできた時点で依頼人のレビューを入れ、方向性をあわせた上で最終化するなど、段取りに組み込む

無理に押し付けるのではなく、時間効率を最大化し、よりよいアウトプットを作るための協力要請という形で巻き込みましょう。

質問例

  • 「手戻りを防ぐために、作業プランのこの時点でXXXさんのレビューを入れたいんですが可能ですか。」
  • 「時間が限られているので、全体の品質アップのためXXXさんの得意なこの作業はお願いしてもいいですか。」

最後に:不満はきちんと伝える

仕事の量と質(への期待値)、そして期限について最大限の交渉をしました。

ここまでできたら、ほとんどの無茶振りは「実現性のある仕事」になっていることでしょう。

最後の締めに、にちゃんと無茶振りに対する不満を伝えておきます。

同じことをまた繰り返されるかもしれないですからね。

コメント例

  • 「わかりました。今回はやりますけど、次は週末仕事にならないように事前調整をお願いします。」
  • 「本当は週末仕事はやりたくないんですが、XXXさんのメンツもあると思うので、今回は協力します。」

5W1Hを整えて無茶振りを沈静化する

以上まとめると、無茶振りをされた際は下記5つの質問を順番にぶつけて、5W1Hのアンバランスを正しましょう。

  1. Why:その仕事の価値は?
  2. When:その期限って本当?
  3. What(量):期限内に達成すべき成果は?
  4. What(質):優先順位、品質目標は?
  5. How/Who:段取りと役割分担は?

依頼に対してゴネるのは心象が悪いかもしれません。

しかしそこで無茶振りをに受けたら、おそらく今後も無茶振りが来てしまうことでしょう。

そもそも無茶振りをしなければならない理由は、計画の甘さや客のワガママです。

そこでちゃんと「できないものはできない」とフィードバックしないと、「計画をちゃんと練ろう」「見通しをきちんとつけよう」等といった脱・無茶振り体質への第一歩は開けません。

正々堂々とゴネるのは、自分のためであり、人のためでもあるんです。

まとめ:ちょっと嫌なやつになろう

というわけで、無茶振り仕事に対してスジの通ったゴネ方で自分を守る方法でした。

  • 無茶振りとは、5W1Hのバランス崩れた依頼である
  • 5W1Hのそれぞれの「なぜ?」を検証することで「実現性」を担保する

「できます!」「やります!」と前のめりになるマインドはすばらしいものです。

しかしそれで無茶振りが止まらず自分が潰れるのは問題ですし、そもそも無理・無駄・ムラのある無茶振りを是とする体質は危険です。

無茶振り文化を足元から直すために、ちゃんと話さないと動かないちょっと扱いにくいやつになってみませんか?

このポイント、管理職になったら身につけておかないと、心を擦り切らすことになりますよ……

https://work.naenote.net/entry/managers_should_say_no

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